自転車を利用する人の意見が社会に反映されて、より良い自転車利用環境を実現するためには、どんなことが必要なのか。自分はどんなことを考えてどんな行動を取ればいいのか、どんなリソースが必要なのか、誰に、そして誰が声を届ければ効果的か……ちょっと思いをめぐらせてみました。とりとめのない感じなのですが、書き出してみたいと思います。
●交通ルールを理解して守る
Signal by mrhayata, on Flickr
当たり前ですが、まずは自分自身が交通ルールを理解し、守ること。自転車に限らず、例えば街を歩いているときに、近くに親子連れがいて、横断歩道は赤だけどクルマの往来はさしてないし……そんなとき、大人として手本が示せるか、と。もちろん無意味な信号や守るとかえって危険に身をさらすルールもありますが、現状を理解し守るべきものを守った上で「このルールは矛盾している」などと言えれば良いなと。
●自転車を交通手段として考える
自転車趣味は楽しいものですが「乗れば自転車の良さがわかる」というだけではあまりに説得力がありません。
Palo Alto Commuter by Richard Masoner / Cyclelicious, on Flickr
交通手段、移動手段としての自転車、生活の中での自転車のことを考えないと、何を言っても「趣味者のたわごと」と受け取られてしまうように思います。なので、私自身も「乗ればわかるのに」と内心では思いつつ、人にはそれを言わないように心がけるようになりました。ごく最近のことですが。
●他の交通手段のことも考える
Traffic Jams and people walking home through Akasaka by Hikosaemon, on Flickr
残念ながら私は自動車運転免許を持っていません(笑) だからクルマを運転する人の気持ちに100%寄り添うことができません。ただ、バイクの運転はするし、タクシーや路線バスや友人のクルマに乗ることはあります。また、新聞は原付バイクで配達され、宅配便は小型トラックで届きます。さまざまな道路交通があって私の生活が成り立っているので、自転車のことだけ考えていれば良いかというとそうはいかないのが現実です。
Bed delivery from IKEA by kalleboo, on Flickr
例えば今の道路構造で、すべての路上駐車を禁止し、ごくごく限られた荷さばきスペースだけで納品・配達活動を行わなければならなくなったとしたら、大きな家具は私の家に届くんだろうか、昨日の夕方ピックアップしてもらった宅配便は、いつ相手に届くんだろう……なんてことを最近は考えています。
また、自転車だけではなく、自転車+クルマとか、自転車+鉄道とか、そういう合わせ技もあるだろうな……とか。
●自転車のロビー団体とユーザー団体
自転車を利用する人の意見を地方行政や国に届けるために、ロビー活動・ロビー団体というものはやはり必要でしょう。今いちばんそれに近いところにいるのは、「自転車活用推進研究会」と「自転車議連」かもしれません。
それと、純粋な自転車のユーザー団体というのは無いように思います。「自転車利用者」にもさまざまな人がいて考えがあるのでいきなり大きなユーザー団体が立ち上がるということはないと思いますが、何かあってもいいでしょう。「サイクリング協会」は、ユーザー団体という感じでもないですよね。
各地域地域で、自転車の活用について考える「集まり」はいろいろと出てきています。そういうのが増えていって、例えば道路環境や駐輪環境について地元の自治体に意見を伝えるといったような活動も、意味があるでしょう。
2013 TD Five Boro Bike Tour, New York City by jag9889, on Flickr
それも、個人でやるより、みんなでやったほうが効果的ではないかと。
●例えばこんな「ロビー活動」もあるはず
どちらかというとアウトサイド・ロビー活動の範疇になるのでしょうが、例えばこんなやり方もあるでしょう。
東京都では先の都議会定例会で「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例案」が可決・成立しました。「都が自転車を移動手段としてどう活用し、環境整備してて行くのかという具体的な指針はともかく、都の政策には協力してください」という条例ですから、せめて都には有効な政策を打ち出してもらいたいですよね。
また、平成24年度に東京都が設置した「東京都自転車対策懇談会」は、この条例の成立に尽力したわけですが、その懇談会の顔ぶれはこちらで確認できます。デポジットやナンバープレートなど「継続して議論すべき」とされた議題もあり、今後同様の趣旨、同様のメンバーによる懇談会が設置される可能性もあるでしょう。
であれば、業界団体、ロビー団体、ユーザー団体等が、こういうもの↓や、
都電荒川線フォトウォーク – Toei Streetcar (Toden) Arakawa Line by Norio.NAKAYAMA, on Flickr
こういったもの↓を活用することも、
単なる「広報・広告」にとどまらない意味を持つはずです。
(都電は東京都交通局で、路線バスは東京バス協会会員社です、念のため)
●リファレンスの充実
「交通事故は減っているが、事故全体に占める自転車事故の割合は減っていない」
「自転車が歩道通行する場合と車道通行する場合とでは、前者のほうが事故が多い」
「○○市で車道に自転車レーンを設けたら事故が減った」
「○○県では自転車条例を可決した」
……話としては聞いたことがあったり、なんとなく理解していることでも、具体的にデータで示せるかというと、示せません。私自身、交通事故全体に占める自転車事故の割合を今すぐ答えろと言われたら「えーっと……」となります。
ちなみに平成24年中の交通事故に関する統計は警察庁のWebサイトから見ることができます。
例えば、他の人に自転車利用環境向上の必要性について話をするときに、必要な資料、統計データ等に簡単にアクセスして、それらを示すことができれば、より説得力出るし、くどくどしゃべったり書いたりするより相手にも受け入れられやすいのではないかと思います。
というわけで、全然まとまっていない内容なのですが、昨日コメダでアイスコーヒーをすすりながら考えたことを記してみました。
[2023/4/23 一部画像差し替え]
(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。