スポーツサイクルの専門店に行けば、大抵は一角に「補給食」のコーナーがあるはずだ。私は大してトレーニングなどしないけれど、サイクリングの補給食としてはもちろん、忙しい時にも手軽にエネルギー補給ができるので、補給食は頻繁に購入している。
その中でも不思議と何度も買ってしまうのが、このプロテインクッキーだ。
「WAY TO GO」なるブランドから発売されている「ハイプロテインクッキー」。製造しているのは「あたり前田のクラッカー」でおなじみの前田製菓である。パッケージにも「ATARI MAEDA」と書かれている。
おなじみと言われても、多くの人が困ってしま言うだろう。一度のみならず何度も聞いたことがあるけれど、それがいったい何なのかわからない——「あたり前田のクラッカー」とは、そういう存在ではなかろうか。
「あたり前田のクラッカー」とは、藤田まことが「てなもんや三度笠」という時代劇コメディ番組で披露していたギャグのこと。番組のスポンサーだった前田製菓と「当たり前」をかけたもので、例えば「俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー」とやるわけだ。
リンク: 前田のクラッカー | 前田製菓
てなもんや三度笠が放映されていたのは昭和30〜40年代であり、その放送期間のほとんどにおいてモノクロだったという。リアルタイムで見ている人は若くても50代ということになる。
もちろん、昭和50年生まれの筆者もリアルタイムでは知らない。再放送なんかもなくて、TBS系列でやっていた「テレビ探偵団」のような、昔を懐かしむ番組でフィルムに記録されたのが紹介されたのを見たことがあるという程度だ。
しかし、今でも「あたり前田のクラッカー」というフレーズはときどき耳にする。まあ、前田製菓自体が今でもそれを謳っているのだから、当然と言えば当然だが、それにしたって長生きしているギャグというか、ダジャレだ。
余談だが、てなもんや三度笠で人気を博したコメディアンのひとりがタケモトピアノでおなじみ財津一郎であって、例えば長旅の途中で休憩するシーンにおいて、みんなを気遣う台詞が長々と続いたあとに「〜であるからして、どうかここでひとつ休んでちょうだぁいっ!」などとやっていたわけである。
さて、この「ハイプロテインクッキー」。1袋5枚入りで、タイプによるが200kcal前後が摂取可能で、しかもベタイン、ビタミンB群(B1、B2、B6)が含まれているので、筋肉量向上や筋疲労回復への効果を「期待できる」というすぐれものだ。
味は柚子風味のベーシックタイプ、チョココーヒー風味のカフェインプラスタイプ、バナナ風味のFeプラスタイプの3種類が用意されている。今回紹介しているのは、ベーシックタイプだ。
これ、柚子風味だったのか……。何度も食べているけど気づかなかった……。
いや、よく見るとパッケージにも書いてある。そう言えばなんとなく、柚子っぽい雰囲気があるだろうか。確かにふわっと何かが香るなとは、思っていたが。ちなみにチョココーヒー風味のカフェインプラスタイプ、バナナ風味のFeプラスタイプは、もうちょっとわかりやすい「らしさ」がある。
それよりも私は、しっとりとしていて、それでいて少し固さが感じられ、決してボソボソとはしていないけれど、モソモソとしたその素朴な食感(外で食べやすい)が病みつきになっていた。5個食べると、結構食べた感じがするのもよい。
何よりも、補給食っぽくないのがよいよね。
サイクリングに出かけた先だけでなく、仕事で移動とアポの繰り返しのようになっている日に、駅のホームにあるベンチに座って食べたりもする。そして今日などは、在宅での仕事の合間につまんでいるのだった。
5個入り、260円(税別)なり。
リンク: WAY TO GO | 前田製菓
(SUGAI Gen)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。