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GIANT ESCAPE R2の長期インプレ第2弾は、乗り心地とタイヤの関係についてのお話です。

ネット上で「ESCAPE R3の乗り心地は硬い」という意見をよく見ます。筆者が、フォークこそカーボンであるもののフレームやホイール&タイヤが同じESCAPE R2に乗ってみての感想は「そんなに硬いかな?」というものでした。むしろ「あー、ロードっぽいのになんて乗り心地が良いんだ」とすら感じました。

確かにロード寄りのクロスバイクですから、シティサイクルや街乗りMTBと比べたら硬いでしょう。ビギナーが硬いと感じるのも無理はありません。サスペンションの無いクロスバイクの乗り心地とはそういうものだ……と思っていただき、慣れるのが一番早いのではないでしょうか。しかし一方で、ユーザー側で過剰に硬くなるようにしてしまったいるのではないかという気もします。

それは、タイヤの空気圧に原因があります。

ESCAPE R3やR2に使われている完組ホイールは重い上に、スポークテンションがかなり高くなっています。テンションが高いということは、ショック吸収性が低く、乗り心地の面では不利です。そしてそんなホイールに「マキシス デトネイター 700×28C」が装着されています。2009年モデルのESCAPE R3およびR2は「HUTCHINSON FLASH 700×28C」ですが、それ以外は2005年の初代からずっとデトネイターです。もちろん2010年モデルも。

このタイヤはセンター部分に硬度の高いコンパウンドを使用しているので、当然ソフトではありません。3,000円台のタイヤとしては丈夫そうだし、その硬さゆえに転がりも良いと思うのですが(高価なタイヤのほうが高性能なのは当たり前で、それとデトネイターを比較するのはおかしい)、ビギナーには「硬い」という印象を強く与えるのでしょう。しかし硬いと感じる原因には、先にも書いたように空気圧も関係しているのです。

「マキシス デトネイター 700×28C」のタイヤサイドには空気圧について「MAX 120PSI」と書かれています。この「120PSI」という数字はあくまでも「最大」なのですが、推奨空気圧と勘違いされている方もいるようです。ふつうに使うには120PSIでは高すぎで、乗り心地が極悪になります。リムやリムテープへの負荷も心配です。デトネイターのタイヤサイドには最大の数値しか書かれていませんが、実際に使用するにあたっては、もっと低い空気圧でも十分に性能を発揮しますし、適正な空気圧であればパンクのリスクも少ないので問題ありません。

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実際に、筆者もESCAPE R2に装着されたデトネイターに120PSIまで充填して走ってみましたが、ふだんロードバイクに乗っていて、そして体格のでかい筆者にとっても「ちょっと乗れたもんじゃないな」と感じる乗り心地でした。コーナリング中も、フィーリングもへったくれもない感じなのです。1時間ほど乗っていると尻が痛くなってきました。体重の軽い方だと、なおさら硬いと感じるはずです。

しかし100PSIまで落とすと、十分に軽快でいながら快適性も持ち合わせた、角が取れた乗り心地になります。コーナリング時は、タイヤが地面に接地している感じがわかります。筆者には120PSIという高圧は不必要かつ不愉快であり、100PSIでまったく問題ないということがわかりました。実は80PSIまで落としてみましたが、それでも空気圧が足りないという感じはありません。小柄で軽量な方なら、80PSI程度まで落としても大丈夫でしょう。

ということで「マキシス デトネイター 700×28C」の空気圧は、80PSI〜100PSI程度の範囲で、体重や好みに応じて調整されてみてはいかがでしょうか。体重のある方や、とりあえず高めにしておきたい、細かく調整するのが面倒だという方は、100PSI入れておきましょう。そして、週に1回はフロアポンプで空気を入れてあげてください。今まできっちり120PSI入れていた人は、それだけでだいぶ乗り心地が改善できます。

ただし、荒っぽい乗り方はしないでくださいね。それでパンクをしても、責任は負えませんので……。

ちなみに80PSIくらいでちょうど良いだろうという人でも、お店では100PSIくらい入れて渡すことが多いようです。クロスバイクを買う層は定期的に空気を入れるという習慣がないことを前提に、あらかじめ高めに入れておくというわけです。

(須貝弦)