自転車のフレームに用いられる素材にはいくつかの種類があります。それぞれどんな特性があるのでしょうか。「素材と乗り味の関係」などというタイトルを付けましたが、結論を先に書くと「一概には言えない」ということになります。
●スチールフレーム
自転車のフレーム素材としてもっともベーシックなのがスチール、つまり鉄です。よく「クロモリフレーム」という言葉を聞きますが、それは鉄の中でもクロームモリブデン鋼というものを使っているものです。
素材自体がしなるので、乗り心地が良く身体への負担が少ないのが特徴です。ただし乗った瞬間から「あー乗り心地がイイ!」というものでもありませんし、安価なモデルはフレームのパイプの肉厚があるので、しなりを感じにくくなってしまいます。また、スチールフレームは他の素材に比べて重くなるという弱点もあります。
しかしスチールフレームのロードバイクは、その多くがいかにも自転車らしいトラディショナルなかたちをしているので、一定の人気があります。
スチールフレームのロードバイク、FELT F4130カンパニョーロ(税込236,250円)
●アルミフレーム
アルミフレームはスチールよりも軽くなるので、一時期はレース用フレームの主流でした。今では入門〜中級グレードのロードバイクでよく使われています。アルミフレームは「硬い」と言われます。
アルミ自体は柔らかい金属です。柔らかいと同時に、変形し続けると壊れてしまう金属でもあります。しかし鉄よりはるかに軽いというメリットもあります。フレームとしての剛性を持たせ、なおかつ壊れないように強度も持たせるために、パイプの形状やフレームの作り方をいろいろ工夫した結果「硬く」なったのです。硬いかわりに、剛性を高めた結果としてパワーロスが少ないというメリットがあります。
また、ビギナー向けのロードバイクとして考えると、まず重量が軽く、そしてカーボンフレームに比べれば扱いやすいのがメリットでしょう。乗り心地は、タイヤやホイールの種類などで後からある程度は改善できますし、アルミフレームでも設計の妙で乗り心地の良さを出しているものもあります。
フレームの後の部分だけにカーボンを使ってショック吸収性を高めた「カーボンバック」というものもありますが、最近は減ってきました。
アルミフレームのロードバイク、FELT F55(税込207,900円)
●カーボンフレーム
フレーム素材にカーボンを使った物が、現代のロードバイクの主流となっています。カーボンと言っても炭素繊維だけを使っているわけではなくて、繊維を固めるための樹脂を含んでいます。
カーボンフレームは、軽くて振動吸収性に優れています。また、技術さえあれば多様な形状や設計にすることができるので、エアロ性能を考えたタイムトライアル用や、選手の大パワーを受け止めるバリバリのレース用フレーム、そしてロングライドに適した乗り心地重視のフレームまで、いろいろなモデルを作ることができます。
逆に言えば「カーボンだから乗り心地が良い」とか「カーボンだから剛性が高い」といったようなことは、一概には言えません。本当にいろいろなものがあるのです。それでも、軽さと振動吸収性の高さは多くのカーボンフレームに共通していると言えるでしょう。
一方、高級なカーボンフレームはとくに、取り扱いに注意が必要です。ちょっと倒しただけで壊れることもあります。
カーボンフレームのロードバイク、FELT F5(税込207,900円)
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須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。