はじめてのロードバイクとして妥当な完成車価格は、一般的には15万円以下だろうか。「初心者におすすめ」といった類の記事で20万円台のものを紹介すると、悪い人みたいな言われ方をすることもある。しかし、はじめてのロードバイクに50万、60万といった金額を使っても本人が納得してるのなら構わないはず。
いきなり100万円かけたって、別に問題はない(気をつけるべきことは山ほどある)。
自転車本体に100万円、用品に50万円、専属のコーチに手取り足取り教わって——かけようと思えば、もっとかけられる。
そこで、はじめての1台から最高のロードバイクライフが送れる(かもしれない)、完成車にすると100万円以上になるロードバイクを6つ、紹介したい。
●SPECIALIZED S-WORKS VENGE DISC DI2
モデルチェンジのたびに大きくデザインが変わるけれど、そのつど「最強」の称号を手に入れていると言っても過言ではない、VENGE。
2018年夏に登場した最新モデルはついにディスクブレーキ専用設計となり、自社の風洞実験施設で磨かれたエアロ形状と最適なチューブの設計によって、さらなる速さを手に入れている。
製品情報サイトはとにかく能書きが多いが、実際に乗った人はみな「速い」と話す。それだけでも十分だ。
価格:1,350,000円(税込)
製品情報: S-WORKS VENGE DISC DI2 BLK/SILHLG 49(49 サテン ブラック/シルバーホログラム/クリーン): BIKE|スポーツバイク用品の通販サイト|スペシャライズド・ジャパン
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●TREK Madone SLR 9 Disc eTap
最新のエアロロードバイクが、軽くて剛性が高くて空力性能にすぐれ「すべてを高いレベルでバランスさせ」ているのは当然の話で、Madone SLR 9はそこに快適性を加えているのが大きな特徴だ。
トップチューブにIsoSpeedという振動吸収機構をもち、ロングライド時の不快感や疲労を軽減してくれる。
そしてTREKで忘れてはならないのが、カスタムオーダーシステム「Project One」によってカラーオーダーが可能であること。他のエアロロードが塗装すら削減して軽さをアピールする(と同時に黒いバイクだらけとなった)中、TREKは見た目を諦めていない。
価格:1,180,000円(税別)
製品情報: Madone SLR 9 Disc eTap | Trek Bikes (JP)
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●Caanondale SYSTEMSIX HI-MOD DURA-ACE DI2
Caanondale(キャノンデール)のエアロロードバイクは、遅れてやってきたのか? 事実そうかもしれないけれど、後発である分「インテグレーション」については強力に推し進められている。
それまでの「汎用品の寄せ集め」とサヨナラして、1台のロードバイクとしての完成度を高めることで、性能はもちろん見た目の統一感も手に入れた。
いくらノスタルジーを掲げたところで「インテグレーション」の流れは止められない——そう感じさせるロードバイクのひとつ。
価格:1,050,000円(税別)
製品情報: SystemSix Hi-MOD Dura-Ace Di2 キャノンデール | Cannondale Bicycles
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●Cervélo S5 DISC Dura Ace Di2 R9170 完成車
エアロロードバイクということばが今のようにもてはやされるよりずっと以前から、エアロダイナミクスを追求したロードバイクを送り出してきたのが「Cervélo(サーヴェロ)」だ。
もともとはトライアスロンやタイムトライアルのためのバイク開発からスタートしているから、エアロロードが得意なのは当然の話。今でこそエンデュランス系やオールラウンダーなどをラインナップにもつCervéloだけれど、やはりこのSシリーズこそが看板モデルであり、華がある。
デザインもCervéloらしさに溢れていると言えるのでは。見た目で選ぶのも、またよし。
価格:1,580,000円(税別)
製品情報: S5 DISC | cervélo | Lineup:取扱いブランド | 東商会
●PINARELLO DOGMA F10
2017年にPINARELLO(ピナレロ)から発表され、その年のツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャ、そして今年のジロ・デ・イタリアをクリス・フルームが制した。それを支えたのが、このDOGMA F10だ。
今年のツール・ド・フランスはフルームのチームメイトであるゲラント・トーマスが制し、メインで使用されたバイクはやはりDOGMA F10だった。さすがに今年のブエルタは逃したが、それでも「デビューからグランツール4連勝」というのは栄誉だろう。
そのバイクが、マテリアルに日本の東レが開発した「TORAYCA T1100G」カーボンファイバーを使用していることをウリのひとつにしているというのは、日本人としてはやはり心をくすぐられるわけで。
フレームセット価格:STD 680,000円(税別)、MY WAY(カラーオーダー)760,000円(税別)
製品情報: DOGMA F10 | PINARELLO JAPAN | ピナレロジャパン オフィシャルサイト
●COLNAGO C64
COLNAGO(コルナゴ)のフラッグシップといえば、エアロロードなどもラインナップしている現在でもなお、ラグドカーボンを採用する「C64」で間違いない。
今回紹介する中では、そして2019年モデルのカーボンバイク全体を見渡しても、C64は「昔ながらの」と言ったら語弊があるが、伝統的・保守的な造りをしている。ジオメトリーを見ても、小さな改良は加えられているが、以前からの「コルナゴらしい」ものを受け継いでいる。
革新的なものもよいけれど、守るもの、受け継ぐものがあるというのも素晴らしい話だ。今でもレース機材として通用しているのだから、なおさらだろう。
フレームセット価格:リムブレーキ仕様 650,000円〜698,000円(税別)、ディスクブレーキ仕様 680,000円〜728,000円(税別)、アップチャージでカラーオーダー可能
製品情報: C64 – PRODUCT | COLNAGO OFFICIAL SITE – コルナゴ公式サイト
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●最後に
はじめてのロードバイクに完成車で100万円以上のものを選んでも、まったく構わない。お金があるなら、使いましょう。むしろどんどん使って!お願い!
ただし、ロードバイクはわりと簡単に壊れる。走行中の転倒はもちろん、立ちゴケでもフレームがダメになってしまう。出かけた先でガードレールにたてかけて写真を撮ろうとしたら、風にあおられ「パラーンッ」という妙に軽くて硬質な音とともにフレームが倒れ、フレームにクラックが入って「はい、終了」ということもある。
簡単に、盗まれたりもする。
そのための覚悟、もしくはそうならないための細心の注意(かつ、それでもなお……というときのための覚悟)は必要だ。もしくは300万円くらいあればよいだろう。
(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。