電車通勤に疲れたら、自転車通勤いかがでしょうか。就業規則を改めて確認してみたら自転車通勤OKになってた……なんて企業もあることでしょう。毎日ではなく週に1〜2回の自転車通勤でも、心身ともにリフレッシュできるかも!?
産経デジタルが運営している自転車情報サイト「cyclist」が2012年に立ち上がった当初、私が連載させていただいていた、自転車通勤している方々へのインタビュー記事があります。さすがに4〜5年も経つと肩書きが変化している方も多いのですが、改めて読み返すと自転車通勤のアイディアがいろいろ詰まっているように思いますので、改めて紹介しておきます。
※肩書き等はすべて取材当時のものです
●自転車なら路線バスよりも効率的
「公共交通機関を使って会社に行くためには、路線バスを2本乗り継ぐ必要があるんです。路線バスは1時間に2本ほどで、ラッシュ時は所要時間が読みにくい。自転車なら、30分以内で確実に会社に着くことができます。それに、朝に自転車に乗ることで、身体のスイッチが入った状態で勤務に入れるのが良いです」
情報源: 「朝に自転車に乗ることで、身体のスイッチが入った状態で勤務に入れる」笠原正樹さん – cyclist
●自転車通勤の向こうには世界選手権!?
「朝から自転車に乗れば、元気が出る」
情報源: 先生の自転車通勤は世界選手権へと通ず!? 和地恵美さん – cyclist
●朝の都心は気持ちがよい
青梅街道にはバスレーンがあります。朝のラッシュ時には、バスレーンに一般の車が入って来ないので、自転車にとっては走りやすいです。また、朝の空気の中、新宿の高層ビル群の中を走って行くのは、なかなか気持ちがよいものです
情報源: 「朝の空気の中、高層ビル群の中を走るのは気持ちいい!」 瀬戸慶太さん – cyclist
●自転車通勤で痩せて、やがて自転車が仕事に
「実際に自転車で通勤してみると、あれ?自転車ってこんなに楽しかったっけ?という感じでしたね。すぐに体重が減ったわけではないけれど、まず体重の増加にストップがかかり、健康診断の結果も良くなるしで、これはいいな!と思いました」
情報源: 自転車通勤を仕事にしてしまった男 内海潤さん – cyclist
●自転車に乗ることで街のコンテクストが見えてくる
自転車に乗ることで、そういった地形の違い、文化の違いもよりいっそう実感することができるようになりました。これは、仕事をする上で街の個性、コンテクストを見出す上でもたいへん有効でした
情報源: リノベーションのスペシャリストは自転車から街を眺める 大島芳彦さん – cyclist
●条件が整えば距離があっても電車より速い
電車で通勤するときは、埼玉高速鉄道から地下鉄南北線直通の電車で都心まで出るのですが、実は電車と自転車とでそんなに所要時間は変わらないんです
情報源: 鉄道と大差ない所要時間で心身ともにシャキッと 中山順司さん – cyclist
●通勤自体が楽しい——ただし安全への配慮は抜かりなく
「実は、朝から頭がスッキリするとか、手が良く動くとか、そういう感覚は持っていないんです。ただ、通勤そのものが楽しい。仕事自体はどうしてもストレスがあるものですが、仕事に入る前や仕事の後に楽しいことがあると、それだけで気持ちの持ちようが違ってきます。そういった気持ちの面でのメリットは大きいと思います」
情報源: 片道30kmを通う心臓外科医の「楽しみ」と「配慮」 武藤康司さん – cyclist
●降りた後の身だしなみも大事
「着替えやタオル、デオドラントスプレーは持ち歩いています。服装に関しては自由であることは確かですが、コマーシャルの仕事などでは、クライアントがいらっしゃる場合もあります。そういったときは早めに現場について、着替えて身だしなみを整えてから仕事に入るようにしています。暑い季節は熱中症予防に保冷剤を持って行って、出先で首筋の動脈のあたりにあてたりすることもあります。」
情報源: 都内の移動はすべて自転車! 声優界の自転車伝道師 野島裕史さん – cyclist
野島さんはその後も伝道師として大活躍されていますね。
●自転車に乗ると、自転車乗りのモラルが気になる
「自転車通勤を始めて気がついたのは、車よりも自転車や歩行者がルールやマナーを守らないこと。よそ見をしながら自転車の目の前に飛び出してくる人は多いですし、車道の右側を走っている自転車も多いですね。これにはびっくりしました。特に、自転車が車道のどちらを走るのかについては、もしかして自分の認識が間違っているのではないかと思い、交番のお巡りさんにルールを確かめに行ったくらいです」
情報源: 自転車通勤で身体のベースを作りアイアンマンレースに挑戦 ジョン・B・ボードマンさん – cyclist
●人生の中で移動している時間は案外、長い
人生の中で、移動に費やしている時間って、とても多いんです。その移動を効率的にすることや、楽しくすることは、まさに“人生の充実”に直結します。
情報源: 「移動を楽しくすることは“人生の充実”に直結します」 BICYCLE NAVI 編集長 河西啓介さん – cyclist
●自転車なら地下鉄よりもまっすぐ行ける
「東京って意外に狭いんだなって思いましたね。地下鉄で移動していると知らずのうちに遠回りになっていることがありますが、自転車だと地下鉄よりはショートカットするように移動できる。ちょっと優越感を感じたりもします。また“あ、この街って坂が多いんだな”といったようなことも、以前より気づくようになりました」
情報源: 社内での自転車置き場は自席の後ろ! 太田恵さん – cyclist
●自転車に乗るときは心のゆとりが大事
自転車に乗って季節感を感じたり、いつもとはルートを変えて路地裏の楽しさを発見したりと、自転車通勤は“小さな旅”にもなります。ただ会社や家を目指して走るだけではなく、そういう心のゆとりを持つことが、危険回避にもつながるのではないでしょうか
情報源: 自転車を愛する革職人の通勤ライドは「心のゆとり」が第一 片岡好博さん – cyclist
●自転車通勤で減量!
「周りの反応はすごかったです。“病気ですか?”とか(笑)。うれしかったですね! うれしくて、余計に食べなくなった時期もありましたが、それはさすがに家族が“痩せたというよりやつれてる”と言うので」
情報源: 朝練を兼ねた自転車通勤で劇的な減量に成功! 鍛治谷映巳子さん – cyclist
●シクロクロスバイクで自転車通勤
通勤で乗る自転車にビンディングペダルを付けるとしたら、歩きやすいSPD。そしてSPDペダルを付けるのであれば、ロードバイクよりはシクロクロス車のほうがいいだろうと思いました。
情報源: 自宅も職場も駅チカだけど、それでも自転車のほうが速い! 片山雄司さん – cyclist
●通行環境と駐輪環境の充実が課題
自転車が最速という話をしましたが、東京の自転車の利用環境は貧弱です。自歩道は多いけれど、自転車通行帯は極めて少ないですし、駐輪場も足りません。都内に100kmの自転車通行帯と1,000カ所の小規模駐輪場があるだけで、東京の自転車利用環境はずっと良くなると思うのです。
情報源: 自転車通勤をきっかけに独自の折りたたみ自転車を開発へ 株式会社イルカ 小林正樹さん – cyclist
●心のゆとりをもって安全に
「心のゆとりですね。通勤途中に何度も自転車の事故を見ていますが、装備がちゃんとしている人でも事故には遭っている。装備も大事ですが、やはり自転車通勤にはゆとりがないと。私も最初は、どれだけ短い時間で職場に到着できるかと考えていました。しかし、そういった気持ちで乗っていると、ルールやマナーがおろそかになってしまうかもしれません。それで事故にでも遭ったら、何の意味もありませんよね」
情報源: 「通勤がメーン」の自転車ライフ OVE南青山・店長 北敏さん – cyclist
●電車乗り換えの煩わしさから解放される
会社の行き帰りに電車を乗り換えるということが、とても嫌いなんですね(笑)。もう、近かろうが遠かろうが関係なく、乗り換えが嫌い。自転車であれば、乗り換え無しに通勤することができます。
情報源: 編集者の移動の自由を支えるのは圧倒的完成度の痛自転車! 月刊モデルグラフィックス副編集長 高久裕輝さん – cyclist
●スポーツサイクルに魅せられて通勤し始めたら健康に
「購入した後は、片道11kmの通勤を、雪の日以外は毎日続けています。マウンテンバイク購入後の最初の6ヶ月で、なんと10Kg痩せるのに成功しました。ウォーキングでは、まったく痩せなかったのに。また血液検査をしたところ、コレステロールの問題もほぼクリアできました」
情報源: 自転車通勤や自転車ツアーでパリ市内を駆け回る! パリちゃり倶楽部 松本浩二さん – cyclist
というわけで、全18回の連載でした。
他の人がどんなふうに自転車通勤をしているのか、ちょっとのぞいてみるにはちょうどよいアーカイブだと思います。10人いれば10人の事情がありますが、何かしらヒントはあるのではないでしょうか。
こういうインタビューもの、今度はCyclingEXでやってみたいと思っています。
(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。