「戦車」は高いところから「コカイン」を睨みつけているように見えた。しかし見方によっては「コカイン」が「戦車」の陣地をジワジワと奪っていると考えることもできる。「戦車」は何を守り「コカイン」は何を手に入れるのか——などというくだらない文章を考えながら、東京都町田市の西にある、桜美林大学のほうへと自転車を進めました。ここから八王子市の鑓水、多摩美術大学のほうへと向かって「尾根緑道」という道が通っているのです。

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尾根緑道は多摩丘陵の最南部にあたり、その名の通り尾根伝いに通っている緑道です。北側は町田や多摩、八王子の丘陵部、そして南側は町田街道や境川に並行しており、その先は平らな相模原台地が広がっています。

桜美林大学の側から走り始めると、前半は車道と遊歩道が並んだ構造となっており、南多摩斎場を境とした後半は遊歩道のみとなっています。車道は少々狭いところもあり、後半はジョガーや犬の散歩なども多いので注意が必要ですが、ポタリングペースなら概ね走りやすいと言えるでしょう。お子さん連れであれば、終始遊歩道を通行するのもアリです。

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尾根緑道を走っている分には、自然がたくさん残されているように思いますが、実は「尾根だけ」に残っているのです。眺望が開けた場所に立ってみれば、南側の台地に住宅地が広がり、その先に丹沢の山々が見えます。北側には、多摩ニュータウンが広がっています。

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この尾根緑道、かつて地元の人々には「戦車道路」の名前で親しまれていました。今でこそ緑道として整備されていますが、昔はまさに戦車が走っていたというのです。上の写真で遠くに見える広大な空き地のようなところから、戦車がやってきていたと言います。

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西へと数km走って相模原市橋本の街が見えてくると、山もだいぶ迫って見えます。

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大きなマンションや都営団地があり、手前には雑然とした空き地のようなもの。多摩ニュータウンらしいといえば、らしい風景。

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給水塔もあります。数年ぶりに来てみると、ソーラーパネルが設置されていました。

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秩父方面?の山々が見えます。

尾根緑道はこの先、国道16号にぶつかるあたりまで整備されていますが、今回はこのあたりで離脱して、別の道路へと向かうことにしました。

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多くのクルマで渋滞するこの通りは、誰が呼んだか「コカイン通り」。

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「カインズホーム」が、通りの両側に立地。

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そのすぐ先には「コストコ」があります。

コストコとカインズホームだから、コカイン通り。実はこの通り、先ほどの尾根緑道のすぐ下を通っています。20年前は山と原野のような場所(造成だけされて、地形がポリゴンのようになっていました)でしたが、あっという間に開発が進みました。

それにしても、カインズホーム、コストコ、ガソリンスタンド、その他もろもろあるせいで、週末は渋滞しています。自転車の方が速いです。自転車通行可の歩道をゆっくり通行しても、なお速い、早い。

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それでも、東の方へと進むうちにクルマも減り、やがて突き当たりに出ました。上に見えているのは、曲がりくねった尾根緑道。

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おや。「多摩境通り」という正式名称が与えられているのですね、コカイン通り。

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突き当たりを左に曲がって坂を登れば、尾根緑道。

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右に曲がって坂を下れば、町田街道と境川。そして先ほど尾根緑道から相模原台地の方に見えた「広大な空き地のようなところ」に行き着きます。

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というわけで、行き着きました。行き止まり。分厚いコンクリートの壁とフェンス。

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ガランとした風景の先には、倉庫のようなものがたくさん建っています。

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米軍の「相模総合補給廠」、つまり補給施設です。太平洋戦争の末期、ここに帝国陸軍の「相模陸軍造兵廠」がありました。軍都・相模原を象徴する施設のひとつと言えるでしょう。敗戦後、米軍に接収されて補給基地となっています。

ここが相模陸軍造兵廠だった時代、戦車のテストコースとして整備されたのが、今の尾根緑道、かつての戦車道路なのです。戦車道路自体は、戦後の一時期も防衛庁によって使用されていたようです(米軍相模総合補給廠に隣接して、防衛装備庁陸上装備研究所があります)。

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振り向けば、戦車道路の尾根が見えます。

相模陸軍造兵廠時代、戦車はこの道を通って戦車道路に向かっていたと言われています。

米軍相模総合補給廠の北側は、静かな住宅地が広がっています。そこから、境川と町田街道を挟んで、多くのクルマが大型商業施設に出たり入ったりする「コカイン通り」こと多摩境通り、そしてそのすぐ先の尾根には、かつて戦車道路と呼ばれた尾根緑道。約1.6kmほどの幅の間に、多彩な街の表情が詰まっています。

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情報源: 町田スポットガイド 尾根緑道

情報源: 尾根緑道-東京|多摩・町田・稲城自転車散歩|自転車情報サイト|バイクプラス

情報源: 鑓水小山緑地|八王子市

(Gen SUGAI)