すでに発表されている通り、ヤマハ発動機(以下「ヤマハ」)から新しい電動アシストスポーツ自転車「YPJ−R」が12月に発売されます。その説明・試乗会が下総フレンドリーパークで開催されました。

まずはじめに、プレゼンテーションの一部を紹介しましょう。商品の企画について説明がなされたその終盤、会場がちょっと盛り上がったシーンがありました。

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ヤマハ初の本格的な電動アシストスポーツ自転車のターゲットユーザーは、明確に「これから始める人」。そして、担当者が「ふだん、製品ターゲットの話をする上で“非ターゲット”とは言わないのですが」と前置きしつつ、ストイックに自転車を楽しみたい人はターゲットではないと(まぁ当然の話なのですが)、言い切っています。

アシストモードの種類と、各モードでの1充電あたりの走行距離は下記の通りです。

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「HIGH」モード:14km
「STD」モード:22km
「ECO」モード:48km

当然、上り坂だけ走っていれば距離は短くなりますし、平地主体ならもっと距離が長くなります。

続いて外観等。

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ハイドロフォーミングのアルミフレームを持ち、パッと見た感じは案外ふつうのロードバイク。ただしアシストユニットの都合でリアセンターは長くなっています。

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トップチューブにワイヤーが内蔵されています。

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音叉マークがシールなのは残念。ここはぜひバッジにしてほしいところ。

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速度やアシストレベル、ケイデンス等を表示できる「液晶マルチファンクションディスプレイ」と操作スイッチ。実は人力のパワーも表示されるのですが、アシストで走るのでそれは要らないかな……。画面は見やすいです。

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操作スイッチの左側面に電源スイッチがありました。

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アシストユニットです。ぶら下がるように取り付けられています。クランクにアシスト力が加わります。従来の「PAS」は、チェーンにアシスト力が加わっていました。YPJ−Rに搭載されるアシストユニットは、欧州で電動アシストスポーツ自転車に使われているものです。

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チェーンリング側。50/34Tのコンパクトドライブとなっています。

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バッテリーの搭載方法はシンプルなもの。結局、この搭載方法がリーズナブルかつフレームも軽量にできるということのようでした。バッテリーは540gと軽量。

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バッテリーをフレームから取り外してUSBアダプターを装着すると、スマートフォン等に給電できます。

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コンポーネントはシマノ・105。

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今まで電動アシストのスポーツ自転車と呼ばれていた「PAS BRACE」シリーズには内装変速機が採用されていました。内装変速機は重量があるため、持ったときの「重い」というイメージを増幅させていた感もあります。このYPJ−Rでは、それほど後輪に偏った重さは感じません。

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リヤハブにセンサーユニットが取り付けられていました。

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タイヤは、700×25Cのマキシス・デトネイターでした。

今回は下総フレンドリーパークの1.5kmコースを何周かさせてもらうことができました。距離は短いですが、途中ダラッとした上り坂もあります。また、今日は風が強く、エンドレスのコースでは途中必ず向かい風になるという状況でした。

コースに出る前に駐車場でちょっと試してみます。まずはアシストオフで漕ぎだすと、さすがに15kg級の車体なので重さを感じ、質実剛健なクロスバイクに乗っているような気分になります。

次に「ECO」モードにすると、確かに漕ぎだしでアシストが効きますが「こんなもん?」という印象。それが「STD」になると「ほぉ」となり、「HIGH」にすると「おほぉっ!」となります(笑) ヤマハの方には「だいぶメリハリありますから」と聞かされていたのですが、確かに。

実際に「STD」モードで周回コースに出てみると、漕ぎ出しではしっかりとアシスト力を感じますが、すぐに自然なフィーリングに変化しています。ふつうの、ドロップハンドルの(ロードレーサーではない)スポーツ自転車に乗っているに近いと言えるでしょう。

アシスト力は速度とともに漸減し、24km/hを前にゼロになってしまいます。それでもスピードに乗ってしまえば、フロントがアウターに入った状態で25km/h巡航するのも苦にはなりません。重量20kgオーバーの電動アシスト自転車では、いくらスポーティなー味付けがなされていてもこうはいかないでしょう。

そして上り坂、しかも向かい風という状況に突入しても、いっしょに行った他のライターさんと談笑しながら20km/h弱のペースで淡々と進むことができます。ゆるい斜度なら、ふつうの自転車より変速がズボラでもOK(フロントシングルでも良いんじゃないかと思ってしまうくらい)。これは、明らかに電動アシスト自転車ならではのメリットです。

同じメーカーのアシストユニットなので少々言いにくいのですが、先日乗った自転車シェアリングに導入されていたものと比べると、さすがに「雲泥の差」だと思いました。

ひとつ感心したのは、「HIGH」モードで漕ぎだすと強いアシスト力を感じ、あっという間に20km/hあたりまで加速してしまいますが、かといって乱暴な感じがまったくしないこと。このYPJ−Rのために、かなりチューニングしたのでしょう。

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さて、この電動アシストスポーツ自転車「YPJ−R」。アリかナシか?

結局は、冒頭のプレゼンに出てきた「ターゲット/非ターゲット」の話に戻るのではないでしょうか。そもそも、YPJ−Rの比較対象は、既存の「純ロードバイク」ではないはずです

自転車の中でもロードバイクだけが好きで、そこに精神性・崇高さを求め、「ロードバイクに乗っている孤高の俺(たち)」を愛するのであれば、YPJ−Rはハナっから興味の対象外でしょう。同時に、YPJ-Rもそのような方々を対象にしていません。一方で、サイクリングというものに固定概念を抱いていない人たち、体力に自信がない、もしくは、もはや体力勝負にさほど興味がない人たちにとっては、YPJ−Rは気になる存在ではないでしょうか。

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では私はどうかというと、ヒルクライムがしたいときもあれば、速い人に連れて行かれて少し苦しい思いをして、それでも走りきって「楽しかった」と思うときもあります。しかし一方で、そんなことはまったく考えず「気分良く流したい」というときもあります。そんなときには、YPJ−Rみたいな自転車も楽しいかもしれません。

もうちょっと軽く、せめて12〜13kgくらいになれば、もっと良いでしょう。カスタムして(メーカーとしては推奨しないとしか言えないそうですが)軽量化したYPJ−Rで、しまなみ海道なんか走ったら、「YPJ−Rならでは」の楽しさがあるんじゃないかと想像しています。機会があればYPJ−Rをお借りして、公道でまとまった距離をサイクリングしてみたいと思っています。

最後に気になるのは「販路」。2015年12月10日発売予定ですが、まだ販売店は発表になっていません。街の自転車屋さんで買うものでもないような気がしますが、自転車プロショップが扱うものでもないでしょう(そもそもヤマハ発動機販売が自転車プロショップへの販路を持っていません)。実際にどんな販売店で、どんなふうに販売されるのかにも注目したいと思います。

●YAMAHA YPJ-R
フレーム:アルミ
サイズ:XS、M
メインコンポ:シマノ・105(2×11)
重量:15.2kg(XS)、15.4kg(M)
価格:248,400円(消費税8%込み、バッテリーと専用充電器を含む)
発売日:2015年12月10日(予定)

リンク: YPJ-R スペシャルサイト | ヤマハ発動機株式会社

YPJ-R Mサイズ ブラック×グレー
YPJ-R Mサイズ ブラック×グレー
YPJ-R Mサイズ トリコロール
YPJ-R Mサイズ トリコロール
YPJ-R XSサイズ ブラック×ブルー
YPJ-R XSサイズ ブラック×ブルー
YPJ-R XSサイズ トリコロール
YPJ-R XSサイズ トリコロール

関連記事: ヤマハ発動機が電動アシストスポーツ自転車「YPJ」のティザーサイトを公開中 | CyclingEX

(Gen SUGAI)




1件のコメントがあります

  1. fortunechild

    発売前に試乗できるとは、うらやましいです。

    YJP-Rは販売店が限定されるようです。

    http://cwfctory.exblog.jp/23721515/

    ジャイアントのイギリスのサイトにもヤマハから供給されたユニットを使ったディスクブレーキのロードがありますね。

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