ロードバイクのタイヤサイズが、どんどん太くなってきています。「レースで使うなら700×23C」などというのは、もう過去の話です。ここ20年くらいで、ロードバイクのタイヤサイズはどのように変化しているのでしょうか。

いま私がメインで乗っているTREKのDomane AL 3 DISC(1世代前のGen3)には、700×32mタイヤが標準装備されていました。その後、別のタイヤに交換していますが、サイズが今でも700×32mmです(リムもタイヤもチューブレスレディですが、チューブドで運用しています)。なおフレームは、35mmまで対応します。

Domane ALはエントリーグレードですが、Domaneシリーズはカーボンフレームの最上位モデルでも、標準装備されているタイヤのサイズは32mm幅(時期により30mm)です。最大では38mm幅まで許容します。
リンク: Domane SLR 9 AXS Gen 4 – Trek Bikes (JP)
20年前は700×23Cが当たり前だった
ここで、時計の針をいっきに20年以上巻き戻してみましょう。

2003年モデルの「ANCHOR RHM9」です。完成車に標準装備されていたタイヤは、700×23Cのクリンチャータイヤでした。タイヤクリアランスは限られており、25Cが限界だったと記憶しています。実はこのフレーム、私も購入しまして、もちろん700×23Cで乗っていました。
このRHM9が出た頃は21Cを使う人もいましたし、22mm幅のチューブラーを使う人も多く見受けられました(むしろ、多かった印象)。
その後に購入した、2005年モデルの「COLNAGO E1」も、700×23C。ロングライド向けと言いつつ、25Cすら入らなそうなクリアランスです。

この20年での変化
ここでひとつ「VELO」の記事をご紹介します。
リンク: Tour de France Bikes Then and Now: What Has Changed in 20 Years? – Velo
ツール・ド・フランスを走っているロードバイクが、2004年から2024年の20年間でどのように変化しているか——という記事です。タイヤについては、次のように書かれています。
11. Wide tires at low pressures
We used to believe that skinny tires — 23mm or less in width — pumped up to 120 or even 140 psi were the fastest option out there. Now we know that that’s far from the case, with 28mm or even 30mm tires run at far lower tire pressures — sometimes in the 40 or 50 psi range — becoming the norm. They have less rolling resistance and are more comfortable, a win-win. You can thank disc brakes for this win-win, as rim brake bikes often struggled to fit tires quite this big.
情報源: Tour de France Bikes Then and Now: What Has Changed in 20 Years? – Velo
機械翻訳すると、下記のようになります。
低圧で幅広のタイヤ
かつては、幅 23mm 以下の細いタイヤを 120 psi または 140 psi まで空気を入れると最速の選択肢になると信じられていました。しかし今では、それはまったくの間違いで、28mm または 30mm のタイヤをはるかに低い空気圧(40 psi または 50 psi の範囲)で走らせるのが標準になりつつあることが分かっています。転がり抵抗が少なく、より快適で、まさに一挙両得です。リムブレーキの自転車では、これほど大きなタイヤを装着するのに苦労することが多かったため、この一挙両得はディスクブレーキのおかげと言えます。
今では、実測で30mmほどのタイヤを履いてレースを走っている選手も少なくないようです。もちろんレースのコースプロフィールにもよってくるでしょうが、30mm幅といったら何年か前までの「GIANT ESCAPE R3」より太いんです。
きっかけはやはりディスブレーキか
もっとも、SPECIALIZEDの「TURBO COTTON 28C」が話題になっていたのが2017〜2018年頃だった頃を思い返せば、今に始まった話ではないんですね。

例えば、2018年に発表された第3世代のSPECIALIZED S-Works Vengeは、すでに32mm幅のタイヤに対応していました。ちなみに同じ時期のTREK Madone DISCは最大28mm幅だったので、VENGEのほうが少し先を行っていたと言えるかも。
Madoneはまだリムブレーキモデルがありましたが、VENGEはディスク専用設計なので、その違いも影響しているでしょう。また、当時は28mmまで対応するだけでも、十分に「太めのタイヤに対応」と謳えたのも事実です。
いずれにしても、ディスブレーキ採用ロードバイクが増えていくのと同時に、タイヤも太くなります。設計の自由度が高まり、リヤエンドが142mm幅になる中では、当然と言えば当然でした。
フレームやホイールの設計自由度が上がる リムの位置にブレーキ台座が必要なリムブレーキモデルよりも、設計自由度が上がります。これにより、ロードバイクでもワイドなリムと太いタイヤでエアボリュームを確保して乗り心地をよくしたり、より多様な路面状況に対応できるようになりました。
情報源: 自転車のディスクブレーキにはどんなメリットがある? – BRI-CHAN
レースバイクでも32mm幅対応は当たり前の時代
「純レースバイク」という印象が強いGIANTのTCRシリーズも、今や28mm幅を標準装備し、最大33mm幅までの対応を謳う時代です。そしてチューブレスでの運用が普及し、より低圧で使用するのが一般的になってきました。

Max Tire Clearance 33mm
情報源: TCR Advanced SL 0 Red (2025) | Race bike | Giant Bicycles Japan 日本
チューブドのほうが向いている人は、たくさんいるでしょう。しかしタイヤの太さに関しては、快適性と転がり抵抗の両面で、一度体感したら戻る理由が見当たらないと感じます。
700×23Cのような細いタイヤは「クラシカル」を演出するためのアイテムになりつつあるのかもしれません。
(SUGAI Gen)