ロードバイクを趣味としていて、レースに出たことがある人は、とくに最初の頃、レース中に飛び交う罵声に驚いた経験があることでしょう。
※記事内容と写真に深い関係はありません
レース中に罵声が飛びやすい理由は、シンプルだと思います。
生身の人間が密集した状態かつハイスピードで自転車に乗っているので、危ない場面に対して丁寧に対応している余裕が、時間と心理の両面で確保できないこと。
そして、その状況が人間の冷静さを失わせること。
プロだってアマチュアだって、職業だった趣味だって、命が大事ですし、ケガはしたくないものです。
レース中に安全を脅かすような行動を取らないよう、レースに出る以上は「踏まえておくべきこと」があります。そこにはハードルがありますし、命がかかっている以上、ハードルは設けられているべきです。しかし実際のところは、出場する人の良識・良心に任されています。
ハードルを乗り越えるためのマイルストーンは、昔は不文律みたいな面がありましたが、今ではだいぶ言語化されているし、仕組み化に尽力されている方々もいらっしゃるし、そういう意味では昔より恵まれていると思います。でも、そういうものに興味を示さない人は示さないし、頭では理解していても自身の力を過大に評価してしまう人もいます。また、どんな世界にも「なめてかかる人」はいます。
ハードルの高い・低いはいかように設定することも可能ですが、では「ゆるい」レースやイベントは安全かというと、そんなことはありません。
ひと昔もふた昔も前、昭和記念公園で「TOKYOエンデューロ」というイベントがありました。シリアスすぎる人が醸し出すギスギスした雰囲気を避けるために「フラットハンドル限定」とされていた時期があるのですが、それで安全だったかというと、それはまったく異なる話です(もちろん、主催側は腐心され、工夫もされていました)。
個人的には、レースに出る前に、ちゃんとした(何をもって、ちゃんとしているとするかは難しいですが)プロのガイドによるサイクリングツアーに、仲間内の何人かで参加してみるのがよいのではないかと思っています。ガイドの目配りの中で走ることが、複数人で自転車に乗るときのふるまいについて考える、よいきっかけになるからです。
追記:単純に口汚い人もいますが、それはどの世界でも同じなので割愛します。
(SUGAI Gen)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。