これからロードバイクを始めたいと思っている人が、実際に購入することになるであろう「エントリーグレード」。2022年末(2023年モデル)の段階では、どんな選択肢があるのでしょうか。この記事では「初心者におすすめのロードバイク●選」ではなく「エントリーグレードと呼ばれるロードバイクは、こんな感じです」というのを紹介したいと思います。
そもそもエントリーグレードとは
そもそも「エントリーモデル」や「エントリーグレード」とは、なんでしょうか。エントリーユーザー、つまりビギナー・初心者に適した、購入しやすい価格帯(安価)のロードバイクを、そう呼ぶのが一般的です。10万円を切る安価なモデルから、メーカー・ブランドにもよりますが20万円くらいまでの価格帯を指すでしょう。
なぜ「エントリーモデル=安価」になるかというと、やはり初期コストが少なく済んだほうが、始めるにあたってのハードルが下がるからです。また、慣れないうちはロードバイクを倒したり転んだりということもあります。さらには「続けられる自信がないうちから高価なものは買えない」と考える人も、可処分所得とは無関係にいます。
勘違いしないでほしいのは「初心者だから20万円以下のエントリーモデルから始めなくてはいけない」というわけではない、ということです。別に200万円のロードバイクから始めても構いません。ただ、カーボンフレームのロードバイクは取り扱いに繊細さを要し、ちょっとした転倒でも「一発廃車」のリスクがあるので、その点は理解しておく必要があります。
現実的なところとしては、フレームの素材がアルミやクロモリ(スチール)などの金属でできていて、ビギナーでも乗りやすい設計で、お求めやすく、しかし粗悪品ではないもの——が、ロードバイクの入門モデルとして適していると言えるわけです。
続いて、代表的なロードバイクエントリーモデルを挙げてみましょう。
リムブレーキのロードバイクエントリーモデル
ここで挙げているのは、フレームがアルミでできていて、ブレーキが「リムブレーキ」のものです。リムブレーキとは、ホイールの外周にあるリムにブレーキシューを押し当てて止めるタイプのブレーキです。まあ、自転車のブレーキと言われて誰もが想像するタイプですね。
もうひとつは、これも想像はつくと思いますが「ディスクブレーキ」です(後ほど紹介します)。
TREK Domane AL 2
アメリカの大手スポーツバイクブランド「TREK(トレック)」のエントリーモデルです。上体が起きぎみ、つまり前傾姿勢が強すぎない設計で、ビギナーでもサイクリングの走行距離を伸ばしやすいよう配慮されています。
フェンダー(泥除け)やリアキャリアを後付けできるようになっているので、通勤や荷物を積んでのツーリングにチャレンジしたい人にもぴったりです。
価格:109,890円(税込)
リンク: Domane AL 2 | Trek Bikes (JP)
GIANT CONTEND 2
台湾の「GIANT(ジャイアント)」は世界的に有名で規模の大きな自転車メーカーです。「CONTEND 2」は、日本市場に投入されるGIANTのロードバイク2023年モデルにおいてはもっとも安価なモデルとなっています。
他のエントリーモデル同様に、上体を起こした姿勢で乗ることができるほか、ドロップハンドルが初めての人でも不安なく乗れるように、ハンドルの手前側に「サブブレーキレバー」が取り付けられています。
価格:129,800円(税込)
リンク: 2023 GIANT Bicycles | CONTEND 2
ANCHOR RL3 DROP
日本を代表する自転車メーカーのひとつであるブリヂストンサイクルが展開するスポーツバイクブランドが、「ANCHOR(アンカー)」です。
「RL3 DROP」は、上で紹介した2台と同じようにビギナーでもとっつきやすい、上体を起こした姿勢となっています。快適で、ロードバイクらしい軽やかな走りを体感できるロードバイクです。補助ブレーキレバーを装備しています。
価格:112,000円(税込)
リンク: RL3 DROP | ALL LINE UP | アンカー | ブリヂストンサイクル株式会社
ディスクブレーキのロードバイクエントリーモデル
次に、ディスクブレーキを搭載するロードバイクエントリーモデルの実例を挙げます。ディスクブレーキは、雨の影響を受けにくいのが特徴です。
上位モデルが油圧で動く「油圧式ディスクブレーキ」を採用するのに対して、エントリーモデルではワイヤー引きの「機械式ディスクブレーキ」が主流となっています。エントリーモデルの機械式ディスクブレーキには、やや操作感が重く、制動力もあまり強力ではないものが少なくありません。
[2022/12/19 追記]
下記で紹介するロードバイクは、いずれもディスクブレーキ搭載ロードバイクの上位モデルと同様に「スルーアクスル」というホイール固定方式と「フラットマウント」というブレーキキャリパーのマウントを採用しています。より安価なものだと、古い規格を採用しているケースもあります。これから買うなら、スルーアクスルとフラットマウントを採用して要るもののほうが、将来のパーツアップグレードにも対応しやすいでしょう。
TREK Domane AL 2 Disc
TREK Domane AL 2のディスクブレーキバージョンですが、フレームが進化して、上位のカーボンフレームモデルに似たルックスを手に入れています。リラックスした乗車姿勢に加え、タイヤが太めになったこととで、さらに快適性が向上しています。
キャリアやフェンダーの取り付けに対応し、アクセサリー取り付け用の台座(ボトルケージ台座)もたくさん設けてあるので、旅バイクにもなります。
価格:153,890円(税込)
リンク: Domane AL 2 Disc | Trek Bikes (JP)
TREK Domane AL 3 Disc
Domane AL 2 Discのひとつ上のグレードが「Domane AL 3 Disc」です。基本設計は同じで、リアの変速段数が1段多い(AL 2 Discは8速、AL 3 Discは9速)などの違いがあります。
価格:197,890円(税込)
リンク: Domane AL 3 Disc | Trek Bikes (JP)
関連記事: これが今どきのロードバイクエントリーモデル – TREK Domane AL 3 Disc – Webマガジン[WAGTAIL]
GIANT CONTEND AR 4
GIANTの「CONTEND AR」シリーズは、上で紹介しているリムブレーキのCONTENDシリーズとは少し異なり、より太いタイヤで多様なシチュエーションに対応する「オールロード」を標榜しています。
例えばサイクリング中に未舗装の路面が出てきても、CONTEND AR 4ならそのまま走り続けることができるので、知らない土地をサイクリングする際には頼もしい相棒となるでしょう。
価格:159,500円(税込)
リンク: 2023 GIANT Bicycles | CONTEND AR 4
ロードバイクも物価上昇の波に逆らえない
いま、世の中のありとあらゆるモノやサービスの価格が上昇しています。その中で、ロードバイクだけ影響を受けないなんてことは、あり得ません。以前8万円で買えたものが10万円に、12万円で買えたものが16万円に——ということが、この半年の間に起きました。
これはもう、仕方がないことです。受け入れないと、何も始まりません。
いっそ「いいクロスバイク」から始めるのもアリ
もし「ディスクブレーキのロードバイクから始めたいけれど、いきなり16万円はなぁ……」と思うなら、そして今はスポーツ自転車に乗っていないという場合は、ちょといいクロスバイクから始めるのもアリです。
GIANTの「ESCAPE RX 2 DISC」は、クロスバイクなのでハンドルこそフラットバーですが、油圧ディスクブレーキやカーボンフォークを装備し、走りの軽快感もなかなかのものです。それでいて価格は、先ほど紹介した「CONTEND AR 4」よりも低いのです。
価格:119,900円(税込)
リンク: 2023 GIANT Bicycles | ESCAPE RX 2 DISC
スポーツ自転車でやりたいことがあるなら、ロードバイクかクロスバイクかではなく、早く始めてやりたいことをやるのがおすすめです。ハマってロードバイクが欲しくなってきたら、クロスバイクをロードバイクのように改造しようとは考えず、次はいいロードバイクを買いましょう。クロスバイクは、セカンドバイクとして重宝します。
もちろん、クロスバイクを乗り続けるのだってOK。成長していくスピードや方向は、人それぞれです。
また「レースに出たい」など、始める上でロードバイクが必須条件なのであれば、それはもう最初からそれなりのグレードのロードバイクが買えるように頑張るしかありませんね。
関連記事: これが今どきのロードバイクエントリーモデル – TREK Domane AL 3 Disc – Webマガジン[WAGTAIL]
(SUGAI Gen)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。