ロードバイクのようにドロップハンドルを備えながら、太いタイヤを装着し未舗装路の走行にも対応する「グラベルロードバイク」や「アドベンチャーロードバイク」といったジャンルが、近年注目されています。

photo_トレック・ジャパン

今回は「グラベルロードってどんな感じなんだろう?」「とりあえず1台試してみたい」という人でも手を出しやすいエントリーグレードを中心に、注目モデルをピックアップします。

グラベルバイクにもいろいろあるけれど

記事タイトルには「グラベルロード」と書きましたが、グラベル(砂利道、未舗装路)走行対応を謳う自転車は数多くあります。ジャンルの細分化も進んでいて、メーカー・ブランドによってさまざまな呼び方がなされているのも事実です。

そのへんの事情については、下記リンク先の記事にまとめてありますので、あわせてごらんください。

関連記事: 【グラベルロード】細分化するグラベルバイクを2020年モデルで手短かに解説【アドベンチャーロード】 – CyclingEX

そして今回の記事では、太めのタイヤを装着可能なロードバイクまで含めて、少し幅を広くとってピックアップしました。

2020年モデル狙い目のエントリーグレードはこれ

グラベルロードやアドベンチャロードと呼ばれる自転車は、思いの外「10万円前後」のエントリーグレードが充実しています。ただ、今回は「いちばん安いのよりは、ちょっと上のクラス」を下限にして紹介したいと思います。

対向ピストンの機械式ディスクブレーキ搭載モデルが増えた

なぜ「いちばん安いのよりは、ちょっと上のクラス」か。大きな理由はブレーキです。グラベル走行をする上で、ディスクブレーキは必須の装備と言えるでしょう。

ただ、安価なモデルは油圧式ではなくワイヤー引きの「機械式ディスクブレーキ」を採用しており、ピストンも片押し(ディスクローターの片側からブレーキキャリパーが押し付けられる)のものが主流です。このようなブレーキは制動力、コントロール性能がそれほど高くなく、操作も重たいという弱点があります。

2020年モデルからは、各ブランドのエントリーモデルに「機械式だけど対向式ピストン」のディスクブレーキが採用される例が増えてきました。ディスクローターをキャリパーが両側から挟み込むので、片押しよりは性能的に優れています。エントリーグレードのグラベルロードやアドベンチャロード等を購入するなら、この「機械式だけど対向式ピストン」が狙い目です。

それでは、まず4車種を紹介しましょう。

Felt BROAM | 60

photo_ライトウェイプロダクツジャパン

Felt(フェルト)の「BROAM | 60(ブローム60)は、オンロードもオフロードもこなすことができ、かつツーリング志向の「アドベンチャーロードバイク」です。荷物を積んでも軽快に、かつ安定した走行が可能。タイヤは700×40Cと太めですが、オンロードの走行性能にも優れたものが採用されています。

タイヤ:700×40C
ブレーキ:機械式ディスク(対向ピストン)
価格:118,000円(税別)

リンク: Felt BROAM | 60(ブローム | 60) | フェルト公式日本語Web | Felt公式日本語Web

TREK Checkpoint AL 3

photo_トレック・ジャパン

TREK(トレック)の「Checkpoint AL 3(チェックポイントAL3)は、オンロードの走行性能を犠牲にすることなく700×38Cのタイヤを装着可能した、グラベルロードバイクです。ロードバイクの軽快感を基本としているので、グラベルバイクと言いつつもやはりオンロード性能が大事——という人にはちょうどよいでしょう。

タイヤ:700×32C
ブレーキ:機械式ディスク(対向ピストン)
価格:125,000円(税別)

リンク: Checkpoint AL 3 | Trek Bikes (JP)

GIANT CONTEND AR3

photo_ジャイアント

GIANT(ジャイアント)のロングライド向けロードバイク「CONTEND」をベースに、太いタイヤを装着し多様な路面状況に対応できるようにしたのが「CONTEND AR(コンテンドAR)」です。この「CONTEND AR3」は、対向ピストンの機械式ディスクブレーキを搭載したエントリーグレード。タイヤは38Cまで対応(標準は32C)です。

タイヤ:700×32C
ブレーキ:機械式ディスク(対向ピストン)
価格:125,000円(税別)

関連記事: GIANT 2020年モデル:ワイドなタイヤで快適性を高めたロードバイク「CONTEND AR」 – CyclingEX

リンク: 2020 GIANT Bicycles | CONTEND AR 3

GIANT REVOLT 2

photo_ジャイアント

GIANT(ジャイアント)の「REVOLT 2(リヴォルト2)」は、上で紹介しているCONTENDO ARよりもオフロード走行を重視しており、セミブロックパターンのタイヤを標準装備しているのが特徴です。また、ブレーキはレバーの近くだけが機械式で、途中で油圧式に変換する「GIANT CONDUCT HYDRAULIC DISC BRAKE SYSTEM」を採用、機械式より軽い引きで、コントロール性にすぐれます。

ブレーキ:機械式→油圧式変換
価格:135,000円(税別)

関連記事: GIANT 2020年モデル:アルミフレーム版も出たグラベルロード「REVOLT」 – CyclingEX

リンク: 2020 GIANT Bicycles | REVOLT 2

予算が許すなら油圧式ディスクブレーキ搭載モデルがおすすめ

続いて、もう少し上のグレードを紹介します。グラベルロードというジャンル全体を見ればエントリーモデルという位置付けでも、アルミフレーム採用モデルの中では上位——といったポジションの自転車たちです。

このクラスになると、油圧式ディスクブレーキを採用したものが増えます。油圧式ディスクブレーキは機械式と比べると軽い力で操作できるので、疲れてきたときや寒いときなどにはありがたいもの。また、手が小さい、握力が少ないという場合も油圧式のほうがよいでしょう。

以下、5台紹介します。

MERIDA SILEX 400

photo_ミヤタサイクル

MERIDA(メリダ)がツーリングのために開発した「SILEX(サイレックス)」シリーズのアルミフレームモデルで、もちろんグラベルライドにも対応。MTBの思想を取り入れた独特なジオメトリーが特徴です。グラベルロード用コンポーネント「GRX 400」を採用しています。

タイヤ:700×38C
ブレーキ:油圧式ディスク
価格:189,900円(税別)

リンク: メリダ -MERIDA- | ラインナップ | ロードバイク | SILEX 400

JAMIS RENEGADE S3

photo_ジェイミス・ジャパン

JAMIS(ジェイミス)のアドベンチャーロードバイク「RENEGADE(レネゲード)」シリーズの中の、クロモリフレームモデルです。バイクパッキングでロングライドを楽しむにはぴったりな1台。小さいサイズは650Bホイール、大きいサイズは700Cホイールを採用しています。

タイヤ:700×36C、650B×36C
ブレーキ:油圧式ディスク
価格:178,000円(税別)

リンク: JAMIS RENEGADE S3

TREK Checkpoint AL 4

photo_トレック・ジャパン

前半で紹介した「Checkpoint AL 3(チェックポイント AL3)」の上位グレードが、この「Checkpoint AL 4」です。オンロードだけでも楽しめる軽快なフレームで、AL 3と比較するとコンポーネントがリア9速→10速に、ブレーキは機械式ディスク→油圧式ディスクと、AL 4のほうがワンランク上のスペックです。

タイヤ:700×32C
ブレーキ:油圧式ディスク
価格:169,000円(税別)

リンク: Checkpoint AL 4 | Trek Bikes (JP)

GIANT CONTEND AR 2

photo_ジャイアント

GIANT(ジャイアント)のCONTEND ARシリーズのうち、(日本市場では)もっとも上位に位置するモデル。前半で紹介したAR3は機械式ディスクブレーキでしたが、こちらは機械式→油圧式に変換する方式です。ロードバイクの走りを基本としつつも、標準で700×32Cを装着し最大で38Cまで対応するので、サイクリング中に未舗装路が出てきても大丈夫。しかもチューブレスレディタイヤ&ホイール仕様です。

タイヤ:700×32C
ブレーキ:機械式→油圧式変換
価格:150,000円(税別)

関連記事: GIANT 2020年モデル:ワイドなタイヤで快適性を高めたロードバイク「CONTEND AR」 – CyclingEX

リンク: 2020 GIANT Bicycles | CONTEND AR 2

ANCHOR RL6D 105 MODEL

photo_ブリヂストンサイクル

ブリヂストンサイクルのスポーツ車ブランド「ANCHOR(アンカー)」の、ロングライド向けロードバイク「RL6」の仲間として、2020年モデルで追加されたディスクブレーキモデルです。基本的にはロードバイクでタイヤも700×28Cが標準ですが32Cまで装着可能で、グラベル走行もOK。1台で幅広い走行シーンに対応できます。

700×28C
ブレーキ:油圧式ディスク
価格:215,000円(税別)

リンク: RL6D | ALL LINE UP | アンカー | ブリヂストンサイクル株式会社

まとめ

というわけで、9台ピックアップしてみました。

機械式ディスクブレーキと油圧式ディスクブレーキとでは、ブレーキレバーが異なります。機械式はリムブレーキと同じものを使いますが、油圧式は当然専用品が必要です。とくにエントリーグレードの場合は変速ギアとの互換性の問題も絡み、機械式から油圧式への交換は、結構な出費です。

もちろん、機械式にはシンプルな構造と取り扱いの容易さというメリットもあるので、予算も含めてしっかり検討していただければと思います。

関連記事: 10万円グラベルロードGT GRADE ALLOY CLARIS(2016年モデル)、5ヶ月経っていちばん気になっているのはココ – CyclingEX

(Gen SUGAI)