サイクリング、レース、フィットネス、旅——目的は人ぞれぞれであっても、ひとたび「ロードバイクがほしい」と思ったら、その熱量が冷めることはなかなかないでしょう。しかし、ロードバイクはそれなりの金額がするものですし、専門店はハードルが高く感じることもあります。そんな悩める人のためのガイダンスです。
[最終更新 2019/3/13]
※この記事は随時アップデートされます
ロードバイクはオンロードを速く走るための自転車
今さらですが、ロードバイクとはどんな自転車かをおさらいしておきましょう。ロードバイクとは、オンロードを速く走るために特化した自転車です。その頂点は世界中で行われている自転車レースで、ロードバイクは「ロードレーサー」と呼ばれることもあります。つまり、そもそもは競技のための道具でした。
しかし、ロードバイクの楽しみ方は世界的に多様化し、フィットネス目的の人からロングライドを楽しむ人、ロードバイクで旅に出る人など、さまざまなニーズが生まれ、それに合わせてロードバイクといえどもある程度の幅が出てきています。
シティサイクルならとても遠く感じる20km〜30kmという距離も、ロードバイクなら「お散歩」の範囲内。上り坂も、車体の軽さを活かしてラクに走ることができます。一方で、いくら多様化していると言っても「実用」にはあまり向いていません。ただ、その特性を理解した上であれば、ロードバイクを通勤・通学に使うことも十分に可能です。
関連記事(別ウィンドウ/タブで開きます): クロスバイク、ロードバイク、ミニベロ……街で見かける自転車のジャンルをおさらい – CyclingEX
ビギナーのためのロードバイクってなんだろう
ビギナー・初心者におすすめのロードバイクとは、どんなものでしょうか。結局のところは人ぞれぞれであって、簡単に「これがおすすめ」と言い切ることはできません。もちろん「初心者におすすめのロードバイク30選!」みたいな記事のニーズが高いこともわかりますが、もうCyclingEXではそういうのはやめました。
はじめての1台を選ぶうえで大切なことは、その1台で安心して、楽しくロードバイクライフをスタートできるかどうかに尽きます。
ロードバイクでやりたいことが、ばっちり明確にあるのであれば、それに合ったロードバイクを選びましょう。「レースに出たい」と思うなら、レースに向いたものを選ぶのです。一方、やりたいことはなんとなくイメージはしているけれど、そこまで明確ではないという人も多いでしょう。まだ知らない世界なのですから、それは当然です。そのような場合は、ロードバイクといえどもある程度多様なニーズを満たすことができ、かつ、乗り手と一緒に成長できるものがよいでしょう。
ロードバイクがほしいだけでなく「ロードバイクライフ」が送りたいならリアル店舗で買おう
ロードバイクをはじめとするスポーツ自転車は、ひとりひとりの体格に合ったものを選ぶ必要があります。体格に合っていないロードバイクでは、乗り手がパフォーマンスを発揮できないだけでなく、体のどこかに痛みを感じてしまうことも多々あります。体格に合っていないロードバイクを買ってしまったがばかりに、楽しさを感じる前に「こんなのイヤだ」と感じてやめてしまうようなことがあれば、それはとても残念です。
そうなりたくなかったら、ちゃんとしたお店で買ってください。
ちゃんと「ロードバイクライフ」を送りたければ、リアルなショップに行きましょう。
初めてロードバイクを購入したいと考えている人の疑問に答え、どんなことをやりたいと思っているのかヒアリングを行い、ニーズに合った1台を提案し、体格を計測して適切なサイズを選択する——そういった一連のコンサルをちゃんと受けようと思ったら、今のところ、リアルなショップに行くしかありません。
とくに、自分の中に判断基準が持てないうちは、ショップのコンサルがたいへん有用です。
また、体格に合わせたサドル高などの微調整、ちゃんとした納車説明、そして乗り始めてから湧いてくる疑問、ちょっとしたトラブル——そういったことも、購入したショップがしっかりとケアしてくれます。
あなたにおすすめのロードバイクが見つかる!?「例えばこんなの、あります」
・フレーム素材によってどう違うのか
いよいよロードバイク本体の話になるのですが、ロードバイクについていろいろ調べたりカタログを見たりすると、自転車のフレームに使われている素材にいくつかの種類があることに気づきます。
一般的には、スチール(クロモリ)、アルミ、カーボンの3種類です。
それぞれ素材によって特性がありますが、それについては別の記事でまとめましたのでごらんください。
関連記事(別ウィンドウ/タブで開きます): ロードバイクなどの自転車フレーム素材と乗り味の関係 – CyclingEX
さて、「初心者におすすめのロードバイク30選!」みたいなのはやめたと書きましたが、それでも選択肢はいくつかお見せしたいと思います。それぞれのリンク先記事がしっかり「●選」になっている点については、笑ってやってください。
・あえてこちらからお見せします!「100万円オーバー」のロードバイク
ひとくちにロードバイクといっても、その価格帯は実に幅広いものです。ヒトケタ万円から、100万円を超えるものまであります。
はじめての1台だからコストを抑えたいと考えるのは自然なことですが、「はじめての1台は安くなくてはいけない」かというと、別にそんなことはありません。今は自転車本体だけでなく、すばらしいパーツ&アクセサリー、そしてソフトサービスがありますから、それらにお金をつぎ込んで「最高のロードバイクライフ」を手に入れることも、不可能ではありません。
まずは、100万円オーバーのロードバイクをご紹介しましょう。
詳しくは下記リンクから関連記事をどうぞ。
関連記事(別ウィンドウ/タブで開きます): 2019年モデル版:はじめての1台から最高のロードバイクライフが送れる(かもしれない)100万円オーバー6選 – CyclingEX
・10万円ロードバイク——予算は抑えたいけど「なんちゃって」ではないもので始めたい
もちろん、はじめての1台はなるべく安くしたいという考えもわかります。最初は乗り方・扱い方に慣れていませんし、どれくらいハマるのかも、わかりませんよね。
「クロスバイクを買ってもどうせロードを買うことになる」とか「どうせハマるから最初からいいの買っておけ」という人もいます。それはたまたまその人がそうだったという「感想」であって、アドバイスではありません。
ちょっと話がそれましたが、とにかく最初の1台は安くしたいとしても、安ければいいというわけではありません。目安は、10万円弱といったところでしょうか。5万円レベルでは、残念ながら一部の例外を除いて、ちゃんとしたロードバイクを手に入れることは難しいでしょう。
というわけで、初心者が安心してロードバイクライフをはじめられる、税別10万円以下のロードバイクをご紹介。
詳しくは下記リンクから関連記事をどうぞ。
関連記事(別ウィンドウ/タブで開きます): 2019年モデル版:イニシャルコストを抑えたい初心者におすすめの10万円ロードバイク5選【入門】 – CyclingEX
・これから楽しみ方を覚えていく人にぴったりなU20万円・万能アルミロードバイク
10万円と100万円という極端な例を出しましたが、「はじめての人でも扱いやすく、長く乗れて、ちょっと“イイもの”」というのが、現実的な選択肢であったりもします。それが15万円〜20万円くらいのロードバイクで、実際ショップでも、ビギナーの最初の1台として売れ筋のゾーンです。
ひとつの目的に特化しすぎず、十分に軽くてよく走る。そして、乗り手が成長してきたら、パーツを交換することでまたワンランク上の走りを見せてくれる——そんなロードバイクを、5台紹介しましょう。
詳しくは下記リンクから関連記事をどうぞ。
関連記事(別ウィンドウ/タブで開きます): 2019年モデル版:これから成長していくビギナーにおすすめのU20万円・万能アルミロードバイク5選 – CyclingEX
・最初の1台がカーボンでもいいんです!20万円台カーボンロードバイク
現在のロードバイクでは、カーボンフレームのものが主流となっています。数年前までであれば「いつかはカーボン」であったかもしれませんが、もはやそういう時代でもないでしょう。
アルミフレームのエントリーモデルより少々価格帯は高めです。しかし、予算の都合さえ許せば、最初の1台がカーボンフレームであっても問題はありません。
幸い、今は20万円台前半からカーボンフレームのロードバイクを選ぶことができます。高いスポーツ性能を基本としつつ比較的オールラウンドに使用できるものが、各メーカー・ブランドから出揃っていますよ。
詳しくは下記リンクから関連記事をどうぞ。
関連記事(別ウィンドウ/タブで開きます): 2019年モデル版:はじめての1台にもおすすめの20万円台カーボンロードバイク5選 – CyclingEX
用品の充実度がロードバイクライフの質を左右する
ロードバイクを楽しむためには、自転車本体だけでなく、さまざまなグッズが必要になります。
それがロードバイクのハードルを高めている面もありますが、グッズが充実すると、快適にロードバイクを楽しめることも事実です。
例えばロードバイクにかけられるイニシャルコストが20万円で、それまで一切スポーツバイクに乗っていないという場合は、自転車に10万円、グッズに10万円という配分でもよいくらい、周辺グッズは重要です。
詳しくは、下記リンクから関連記事をどうぞ。
関連記事(別ウィンドウ/タブで開きます): ロードバイクライフを楽しむために揃えたほうがよいグッズ・用品たち – CyclingEX
ロードバイクの乗り方・扱い方を「習う」ということ
子どもの頃、自転車に乗る練習をしたときのことを覚えていますか。補助輪なしで乗れるようになった、あの瞬間のこと。不思議なもので、一度乗れてしまうと、ずっと乗れてしまう。
だから「自転車なんて誰でも乗れる」と考えますし、間違いではありません。
しかし、シティサイクルとはまったく異なる乗車姿勢、操作方法、そして速さをもつロードバイクを安全に楽しく乗りこなすには、やはりある程度の練習が必要です。それを自己流でやるのも構いませんが、「プロに習う」という方法もあります。
一例として紹介するのが、神奈川県藤沢市、江ノ島の近くにある「リンケージサイクリング」です。アテネオリンピックのロードレース代表だった田代恭崇(たしろ・やすたか)さんをはじめとするスタッフの皆さんが、はじめてロードバイクに乗る人をやさしくナビゲートしてくれます。
リンケージサイクリングでは、これからロードバイクやクロスバイクにチャレンジしようと考えている人を対象に、走る・曲がる・止まるといった基本動作や、車道の走り方などを座学と実技で学べる「体験サイクリング」を提供しています。ただ習うだけでなく、サイクリングを楽しみながら、それらを体験できるのです。
リンケージサイクリングではロードバイクやクロスバイクのレンタルも用意しているので、自転車を買う前にロードバイクがどんなものなのかを知るのにも最適です。
リンク: リンケージサイクリング
このようなサービスはまだ多くはありませんが、今後、増えていくことは間違いありません。
例えば、サイクリングの好適地とされるエリアには「プロのサイクリングガイド」がいて、レンタサイクルとガイド付きツアーをサービスとして提供しています。そういったガイドの方々も、ツアーに出る前に乗り方をちゃんと教えてくれますし、ツアーで走りながらアドバイスももらえるので、活用してみるとよいでしょう。
また、多くのショップでは購入したユーザーを対象にしたライドイベントを開催していますので、そのような場もぜひ利用しましょう。
おわりに:ロードバイクは買った後が大事だ
ほとんどの人にとって、ロードバイクとは趣味であり、つまりは遊びの手段および道具であるかと思います。
そして「ロードバイクで遊ぶ」ということは、その多くにおいて「公道をフィールドとしている」ということを、意識しておく必要があります。
また、サーキットなどの閉じられた環境で行われるレースでも、常に「自分以外の誰か」と隣り合わせです。つまり、ロードバイクは、他者との関係性なしに楽しむことができないものです。
ロードバイクは「一歩間違うと人が死ぬ」ということも、忘れてはなりません。わずかなミスや慢心をきっかけとして、簡単にケガをしたり、命を落としたりといったことにつながってしまいます。
したがって、安全で楽しいロードバイクを送るためには、ルールとマナー、そして振る舞い、それらをベースとして全部ひっくるめていえば「流儀」が必要です。
そういったものを身につける場が、先ほど紹介した「ロードバイクを習うことができる場」であったり「ショップのサイクリング」であったりするのです。
また、モノとしてのロードバイクにはメンテナンスが欠かせません。使用すれば劣化していきます。もちろん、適切にメンテナンスや交換を行っていけば、性能を維持できますし、気持ちよく乗ることもできます。
このような「ロードバイクを買った後」のことも、ぜひ頭に入れておいていただければと思います。
(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。