自転車のフレーム素材として昔からあるスチールは、重量こそカーボンやアルミに劣るものの、振動吸収性の高さなど幾多のメリットがあり、クロモリ合金などがロードバイクのフレーム素材として今でもメジャーであり続けています。
今回は、完成車で10万円台からフレームセットで50万円まで、5台のクロモリロードバイク+1を選んでみました。
●10万円台:スタイリッシュで活躍シーンが多い「FUJI BALLAD Ω」
「FUJI(フジ)」は日本生まれのアメリカブランド。BALLAD Ω(バラッド オメガ)は、昔ながらのロードレーサーがもつイメージを現代に伝えつつ、マットブラックおよびクロームのフレームカラーによって街中で存在感を発揮するクロモリバイクです。カジュアルな服装で街乗りを楽しむもよし、サイクリングジャージでロングライドを楽しむもよし。サイズ展開が6種類と豊富なのはありがたいです。
メインコンポーネント:シマノ・ソラ
価格:マットブラック 108,000円(税別)、クローム 115,000円(税別)
メーカーリンク:FUJI BIKES
●20万円台:唯一無二の形状をもつネオコットクロモリ「BRIDGESTONE ANCHOR RNC7 EQUIPE」
90年代は国産のレーシングフレームとして名を馳せた、ブリヂストンのネオコット プロフェッショナルフレーム。「スピニングバテッド加工」と「バルジ成形」による独特なチューブ形状は、他にないものです。アルミフレームやカーボンフレームが隆盛となり相対的にロングライド向けといった位置付けになっていますが、ジオメオトリー自体はレーサーのもの。カラーオーダーできるのも魅力です。
メインコンポーネント:シマノ・105
価格:260,000円〜(税別)、フレームセット 170,000円〜(税別)
メーカーリンク:BRIDGESTONE ANCHOR
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●30万円台:ペイントラグも選べる「Panasonic ORCC11」
Panasonicのオーダーシステム「POS」が30周年となったのを記念して、2017年モデルから登場したのが「ORCC11」。ホリゾンタルのデザインは保ちつつ、オーバーサイズ&インテグラルヘッド、カーボンフォークを採用。それにあわせたラグも新たに開発しています。カラーを豊富なデザインから選ぶことができるのも特徴で、上の画像はデザインをシミュレーションしたものです。ペイントラグ仕様も選べます。
メインコンポーネント:シマノ・105、シマノ・アルテグラ
価格:105仕様 343,000円〜(税別)、アルテグラ仕様 385,000円〜(税別)、フレームセット 200,000円〜(税別)
メーカーリンク:Panasonic
●フレームで30万円台:伝統的なレーサーの姿を伝える「COLNAGO MASTER」
1980年代に数々のレースで活躍した、コルナゴのレーシングフレームです。もちろん現代においてレースの第一線で活躍することはありませんが、細身で星形断面のチューブや1インチのストレートフォークなどにより、重厚感と直進安定性のある走りを楽しむことができます。フロントフォークは、アヘッド(スレッドレス)とスレッドから選択可能です。
価格:フレームセット 330,000円(税別)
メーカーリンク:COLNAGO
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●フレームで50万円台:定番NeoPRIMATOにひと手間加えた「DE ROSA NUOVO CLASSICO」
上のCOLNAGO MASTERと並んで定番とされるDE ROSA(デローザ)のスチールモデル「NeoPRIMATO(ネオプリマート)」。そしてNeoPRIMATOをベースとして、ラグ、フォーククラウン、右側チェーンステーにメッキ加工を施すなど手間を加えたモデルが、このNUOVO CLASSICO(ヌーヴォクラシコ)です。オプションでスレッドレス仕様やシルバーリムの完組ホイールも用意されています。
価格:フレームセット 480,000円(税別)、オプションあり
メーカーリンク:DE ROSA
●より理想を追求するならオーダーフレーム
フレーム素材としてのスチールがカーボンに優っている点をひとつ挙げるとすれば、サイズ展開を多くしやすいことは乗り手にとって大きなメリットがあります。そして、それをより追求していくと「ひとりひとりに合ったフレームを」ということになるのです。日本にはたくさんのフレームビルダーがいますから、オーダーフレームも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
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以上、とくにひねりのない、わかりやすい5選+1かと思います。
ところでみなさんは、スチールフレームに組み合わせるフォークは、スレッドとアヘッド(スレッドレス)のどちらが好みでしょうか。今回紹介した中では、MASTRとNUOVO CLASSICOは昔ながらの1インチですが、スレッドとアヘッドのどちらも選べるようになっています。
筆者個人的には1インチのアヘッドというのも嫌いではないというか、むしろ細身のシルエットは残しつつ現代的なパーツで組みたいなぁ……などと想像しています。
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(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。