ついにツール・ド・フランス 2018が終わりました。ゲラント・トーマス(チーム スカイ、イギリス)が、うれしい総合優勝。最終週を、J SPORTSのハイライト動画で振り返りましょう。
第16ステージ:下りで明暗が分かれたピレネー初日はアラフィリップの勝利
ピレネー初日。キレのある走りを見せたと思ったフィリップ・ジルベール(クイックステップフロアーズ、ベルギー)は下りで崖下に落下、このステージは走り抜きましたが翌ステージは出走せず。
1級山岳を先頭でクリアしたアダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット、イギリス)も、その後の下りで落車。そのイェーツを抜き去ってステージ勝利を収めたのは、山岳賞ジャージを着用しダウンヒル巧者でもあるジュリアン・アラフィリップ(クイックステップフロアーズ、フランス)でした。
第17ステージ:距離65kmという異例のステージでキンタナが久々の勝利、スカイはエース交代が明確に
スタートが総合タイムごとにグループ分けされていましたが、なんてことはなく、ごちゃっとスタート。
このステージではついに、チーム スカイのエース交代が明確になりました。
終盤、ナイロ・キンタナ(モヴィスター チーム、コロンビア)が快調に走る中、トム・デュムラン(チームサンウェブ、オランダ)やプリモシュ・ログリッチェ(チーム ロットNL・ユンボ、スロベニア)の攻撃にクリス・フルーム(チーム スカイ、イギリス)は遅れを見せます。
ステージはキンタナが勝利。ダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ、アイルランド)がステージ2位、そして総合首位のゲラント・トーマス(チーム スカイ、イギリス)が3位。フルームはステージ8位に沈み、総合でもデュムランに抜かれ3位に。
なお、ハイライトには出ていませんが、ペーター・サガン(ボーラ・ハンスグローエ、スロバキア)が下りで落車し負傷しています。
第18ステージ:平坦ステージのスプリントをデマールが制する
恵みの?平坦ステージ。ペーター・サガン(ボーラ・ハンスグローエ、スロバキア)は前日の落車の影響で少々痛々しい状態です。
レースはスプリント勝負となり、アルノー・デマール(グルパマ・エフデジ、フランス)が、追うクリストフ・ラポルテ(コフィディス・ソリュシオンクレディ、フランス)を寄せ付けず勝利しています。
第19ステージ:ログリッチェがステージを制して総合でも3位に
この第19ステージが、今回のツール・ド・フランスで最後の山岳ステージ。1級山岳のアスペン峠を先頭で通過したのは、アラフィリップ。アラフィリップは山岳賞を確定させました。
トゥルマレを含む超級山岳が連続する区間で輝いたのは、チーム ロットNL・ユンボのログリッチェでした。登りで果敢にアタックをしかけるだけではなく、霧の中のダウンヒルでも攻めに攻めて後続を突き放します。結局単独でゴールに飛び込みステージ勝利。総合でもフルームを逆転して3位に上がっています。
第20ステージ:TT世界チャンピオンのデュムランが意地のステージ1勝、トーマスは総合優勝を手中に
最終決戦の個人タイムトライアル。前日のステージ優勝で総合3位にアップしたログリッチェですが、この日はタイムを失い、一方のフルームはステージ2位の走り。フルームが総合3位の位置に戻ります。
計測に不具合があり、途中何が何やらというシーンもありましたが、デュムランがフルームを1秒上回る最速タイムを記録し、TT世界チャンピオンの意地を見せるステージ優勝。ゲラント・トーマスは盤石の走りでステージ3位に入り、ついにツール・ド・フランス総合優勝を確実なものとしました。
第21ステージ:ゲラント・トーマスが歓喜のゴール、ステージはクリストフ!
いよいよ最終ステージ。スタートで各賞ジャージ着用者とともに先頭に並んだのは、シルヴァン・シャヴァネル(ディレクトエネルジー、フランス)です。この日、シャヴァネルは現役引退を表明しました。
シャンゼリゼまでの道のりはお祭りムード。そしてシャンゼリゼの周回コースに入りまず飛び出したのは、シャヴァネル。半周ほどを単独で走行し、沿道のファンに挨拶をします。その後6人の強力なエスケープが形成されましたが、やがて吸収。そして最終週、イヴ・ランパルト(クイックステップフロアーズ、ベルギー)が飛び出しますが、集団も猛追しスプリント勝負へ。最後はアレクサンドル・クリストフ(UAEチームエミレーツ、ノルウェー)が制しました。UAEチームエミレーツは、うれしい今大会2勝目。
後方では、トーマスとフルームが並んでゴールラインを越えました。21のステージを走り抜き、ゲラント・トーマスが初のツール・ド・フランス総合優勝を達成しています。
ツール・ド・フランス 2018 総合成績
終わってみれば、ゲラント・トーマスは完璧な勝利だったと言えるでしょう。ポイント賞のペーター・サガンは途中落車でやきもきさせましたが、無事に走り抜いてポイント賞を獲得しました。サガンはスプリントステージを3つ勝っており、文句なしといったところ。山岳賞のジュリアン・アラフィリップもステージ2勝を挙げるなど、力強い走りでした。
しかしここに至るまでは、初日からフルームが落車したり、厳しいステージで有力選手が脱落・リタイアしたりと、波乱の展開でした。各賞は全21ステージ走りきってこその栄誉だということを、見ていて改めて認識しました(とくにサガンの落車後)。
フルームはジロとツールを両方獲るという目標は達成できませんでしたが、それでも総合3位。また、昨年のジロ勝者であるトム・デュムランが、ジロとツールで連続して総合2位というのもすごいことで、チーム力が違えば、ひょっとしてひょっとするのでは——もっとも、それだけスカイのチーム力が秀でていたということなのでしょう。
個人総合順位
1 ゲラント・トーマス(チーム スカイ/イギリス)in 83h 17’13”
2 トム・デュムラン(チームサンウェブ/オランダ)at 01’51”
3 クリス・フルーム(チーム スカイ/イギリス)at 02’24”
4 プリモシュ・ログリッチェ(チーム ロットNL・ユンボ/スロベニア)at 03’22”
5 ステフェン・クライスヴァイク(チーム ロットNL・ユンボ/オランダ)at 06’08”
6 ロメン・バルデ(AG2R/フランス)at 06’57”
7 ミケル・ランダ(モヴィスター チーム/スペイン)at 07’37”
8 ダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ/アイルランド)at 09’05”
9 イルヌール・ザカリン(チーム カチューシャ・アルペシン/ロシア)at 12’37”
10 ナイロ・キンタナ(モヴィスター チーム/コロンビア)at 14’18”ポイント賞
1 ペーター・サガン(ボーラ・ハンスグローエ/スロバキア)477 pts
2 アレクサンドル・クリストフ(UAEチームエミレーツ/ノルウェー)246 pts
3 アルノー・デマール(グルパマ・エフデジ/フランス)203 pts山岳賞
1 ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップフロアーズ/フランス)170 pts
2 ワレン・バルギル(チーム フォルテュネオ・サムシック/フランス)91 pts
3 ラファル・マイカ(ボーラ・ハンスグローエ/ポーランド)76 pts新人賞
1 ピエール・ラトゥール(AG2R/フランス)in 83h 39’26”
2 エガン・ベルナル(チーム スカイ/コロンビア)at 05’39”
3 ギヨーム・マルタン(ワンティ・グループゴペール/フランス)at 22’05”チーム総合順位
1 モヴィスター チーム(スペイン)250h 24’53”
2 バーレーン・メリダ(バーレーン)in at 12’33”
3 チーム スカイ(イギリス)at 31’14”総合敢闘賞
91 ダニエル・マーティン(UAEチームエミレーツ/アイルランド)
情報源: 【ツール・ド・フランス2018 第21ステージ結果速報】諦めずに努力すれば報われる、それを体現したゲラント・トーマスが個人総合優勝 : コラム | J SPORTS
リンク: ツール・ド・フランス2018 : サイクルロードレース | J SPORTS
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(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。