JAL(日本航空)が、自転車輸送用の受託手荷物専用ボックスを開発したと発表しています。
リンク: 自転車輸送用 受託手荷物専用ボックスを開発 | プレスリリース | JAL企業サイト
飛行機輪行の際に避けることができなかった自転車の分解・組み立て作業を行うことなく、簡単にボックスに収納し、飛行機で安全に輸送しようという試みです。
2018年8月以降、JALが提供する国内線団体商品の受託手荷物用として供用される予定。
ただし、正直なところ、おかしい点がいくつかあります。産経デジタルCyclistさんの記事から、引用させていただきます。
対応車種はロードバイクのほか、クロスバイクも輸送可能。ロードバイク向けに設計されているため、ファットバイクや29インチのマウンテンバイクなどは、車輪やパーツなどのサイズが合わず未対応となっている。
情報源: JALが飛行機輪行用ロードバイク輸送ボックス「エスビーコン」を発表 – cyclist
JALのプレスリリースによると『サイクルツーリズムの多様なニーズに応えるべく』とあるのですが、自転車の多様性には配慮しない模様。
ボックスは、空港まで車でのアクセスや、直接自転車での乗り入れを想定しているため、電車で輪行する場合は、一度輪行袋に収納した自転車を組み直し、ボックスに入れる作業が必要になる。
情報源: JALが飛行機輪行用ロードバイク輸送ボックス「エスビーコン」を発表 – cyclist
ちょっと、どうなんでしょう。
羽田空港の第1ターミナルまで輪行したら、空港でわざわざ輪行解除して箱に詰めるのでしょうか。空港の駐車場までクルマにロードバイクを積んだとして、駐車場からロードバイクをむき出しにしてターミナルまで行けるのでしょうか。その部分の答えが出てないって、そういうことなんでしょう?
サイクルツーリズムによる地域振興が謳われる昨今ですが、それは昨日今日に始まったわけではありません。すでに多くのツーリストが旅を実践し、そこに多くの事業者も関わっています。しかるべき知見を集めれば、2018年というこの時期に、このようなものは出来上がらないと思うのですが……。
箱を作ることが目的化してしまったように感じます。このようなレベルのものを「第一歩として評価」するべきなのかどうか、たいへん悩みます。
なお、リリース素材や文面に「S-WORKS」の文字が見えますが、これは共同開発事業者である「合同会社S-WORKS」という法人のことであり、S-WORKSという名称のバイクを販売しているスペシャライズドのことではありません。
[2018/6/30追記]
本記事で紹介したボックスを使用するモニターツアーの商品情報が、日本旅行のWebサイトに掲載されていました。
※2018年7月2日発売予定
ツアーの詳細はリンク先をごらんいただくとして、ボックスに収納できる自転車には、やはり相当な制限がある模様です。
記載されている条件は、下記のとおり。
<<【注】お預けいただける自転車のスペック>>
(1)タイヤサイズ 700×28Cまで対応可
(2)フラットバー不可(クロスバイク不可)
(3)サドル高は75cm以内
(4)サドル高制限を超えたものは下げるか、シートポストごと抜いて箱に収める
(5)マウンテンバイク、ミニベロなどは対象外
(6)フロント3段ギア付は不可
(7)DHバーは不可
MTBやミニベロはもちろん、クロスバイク、オールロード、グラベル&アドベンチャーロード、シクロクロスも無理なようです。700×28C以下のタイヤを装着したロードバイク「だけ」を対象にしているわけですね。
(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。