私は車の運転をしません(四輪の免許がありません)。だからドライバーの気持ちは、想像することはできても体験としてはわかりません。かつて中免と言われた普通二輪は持っています。エンジンの付いた乗り物で道路を走る気持ちは、そういう意味ではなんとかわかります。自転車にも乗りますし、徒歩でも移動します。わずかな機会ですが家族の車椅子を押して出かけたこともあります。
ヤマハ・セロー225というすてきなオフロードバイクに乗っていたときは、気持ちの良い峠道に行けばスポーツカーやリッターバイクに煽られ、街を走ればそれはそれで変なドライバーに煽られ、無理な追い越しをかけられ、同じ立場であるはずのバイクからも走行中に左から抜かれ……ということが日常茶飯事でした。駒沢通りやR246を使ってバイク通勤していたせいも、あるのですが。
自転車はどうでしょう。私は私なりにかなり「遵法」「無理しない」走行を心がけている自負がありますが、それでもなぜかクランクションを鳴らされたり、幅寄せされたり、交差点の停止線を越えた後に左折車に追い越されて進路を塞がれたりといった経験があります。二度や三度ではすみません。免許を持っている人がみんなルールを守るなら、こんな目にあうはずがないのですが。
自転車どうしでも、車道の左側を走っていると前から逆走の自転車がやってきて、別に私はチキンレースなどしかけずさっさと自分が止まるなりよけるなりするのですが、それでも逆走している側にけげんな顔をされることがあります。
歩いているときはどうでしょうか。信号の無い横断歩道を渡りたくて、横断歩道の手前で待っているとき、走っている車は止まるでしょうか。止まってくれない車の方が圧倒的に多いです。
前が詰まっているからといって、横断歩道上で止まってしまう車もいます。
先日は綱島の駅前や綱島街道を歩きました。
横浜のこのあたりはどこもそうなのですが、
車は自転車や歩行者を、自転車は歩行者を、まるで邪魔者のように扱うとんでもない街だと思いました。
なんか、バイク→自転車→歩行者の順で、ずっと追いやられてないか?
しかし一方で、逆順に傍若無人なふるいまいも多く見られるような印象もあります(あくまでも印象)。
これは、なんだ?
もちろん私も、サイクリングロードなどで自転車に乗って人を追い越すときに、自分自身はゆっくり余裕を持って追い越したつもりでも、歩いている人からは「ぎりぎりのところをすごいスピードで抜かれた」という印象を与えているかもしれません。
悪いのは誰でしょうか。何が悪いのでしょうか。簡単な二項対立に落とし込むことは可能でしょうか、不可能でしょうか(法律家なら可能でしょうけど)。
「CyclingEXはしたり顔でもっともらしいことを書くくせに自分の意見や結論が書いていない」と怒られることが、実は多々あります。でもここはあえて、結論らしいことは書きません。書けません。ただひとつ言えることは、私は問題意識を持ち続けているし、みなさんにも問題意識を持っていただきたいのです。
ハンドルを握るときも、アクセルを回すときも、ペダルをこぐときも、自分の足で歩くときも、です。
(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。