会社勤めではなく通勤をしているわけではない筆者が言うのもなんですが、自転車通勤をするのにぴったりな自転車とはなんでしょうか。もちろん、どんな自転車でもちゃんと公道を走ることができる状態であれば通勤に使うことはできますが、シチュエーション別に考えてみました。
●通行環境に恵まれて巡行速度が高いならロードバイク
それなりに距離があって(15km以上とか)、停車帯が広く取られた幹線道路や、幅員に余裕のあって舗装もされている川沿いのサイクリングロードを走っていれば会社に着いてしまうような場合は、自分ならロードバイクを選択します。仮にクロスバイクから始めたとしても、たぶん1年でロードバイクに乗り換えるでしょう。
ただ、通勤を自転車のメイン用途として考えた場合、ロードバイクにするなら前傾姿勢が緩いポジションを取ることができて、タイヤも700×25Cや28Cが装着できるロングライド系のモデルにするでしょう。
また、職場で屋外に駐輪しなくてはならなかったり、買い物等で寄り道することも考えれば、あまり高級なロードバイクを使う気にはなりませんから、アルミフレームの入門グレードや、ツーリング風味のものを選ぶと思います。
例えば「FELT Z85」のようなロードバイク。
FELT公式サイト | フェルト ロードバイク | FELT | Z Alloy Series | Z85.
先日もちょっと紹介した、ブリヂストンサイクルの「CYLVA D20」 みたいに実用性に振ったものも良いでしょう。
CYLVA|BRIDGESTONE GREEN LABEL.
●やっぱり万能で気軽に使えるクロスバイク
「自転車通勤にはクロスバイクがぴったり」っていうのはあまりにも当たり前すぎる話なのですが、これから始める人などはとくにクロスバイクがオススメですし、ロードバイクを持っている人でもセカンドバイクとして通勤用クロスバイクを持つのはアリだと思っています。筆者自身、通勤はしてないとはいえ街乗りにはロードバイクではなくクロスバイクを使っています。
大半のクロスバイクは、ビギナーにも乗りやすいように(シティサイクルほどではないにしろ)上体が起きたポジションが取れるようになっています。そのメリットは楽(ラク)というだけではありません。上体が起きる分「視野が広くなる」のも大きなメリットです。
市街地や郊外の一般的な道路を通り、ときには細街路にも入っていくような場合、視野が広いほうが周辺状況を把握しやすいですし、路上駐車を追い越すときの後方確認等もやりやすくなります。
また、クロスバイクがシティサイクルより高価だと言っても、5〜6万円で十分なものが手に入りますから、スポーツサイクルとしてはかなり気軽に使える部類です。
クロスバイクにも、タイヤが細め(700×28C)のものから太め(700×32C以上)のものがありますが、先のロードバイクのところで挙げたような通行環境なら前者が、そして自転車歩行者道も通行せざるを得ないような場合は、後者が向いています。
「GIANT ESCAPE R3」はタイヤが細いクロスバイクの代表格。
2015 Giant Bicycle [ESCAPE R 3].
そして「RITEWAY SHEPHERD CITY」はタイヤが太いクロスバイクの代表格です。
RITEWAY公式サイト | ライトウェイ クロスバイク | RITEWAY | SHEPHERD CITY | シェファード シティ.
●街中チョイ乗りならシティサイクルで十分
自転車に乗る時間はせいぜい15分くらい、スーツでビジネスバッグもあって……というような場合は、シティサイクルでも十分。カゴやスタンドが最初から装着されている分、むしろ便利だったりします。女性がスカートで乗ることもできます。サドルを高めに設定すれば、内装3段変速のシティサイクルでも20km/h弱で巡行できますよ。
こちらは、ブリヂストンの「ステップクルーズ ダイナモランプモデル(3段)」。
ステップクルーズ ダイナモランプモデル(3段) | STEPCRUZ | 製品情報 | ブリヂストンサイクル株式会社.
シティサイクルも、ブリヂストンやパナソニック等、有名ブランドで定価が3〜4万円くらいのものは、やっぱりデキがいいです。
川沿いから台地に向かうような坂が多い街なら、電動アシスト自転車が良いですね。
●街乗りMTBもあなどれない
車の通行量が多い幹線道路沿いの自歩道を通らなくてはいけないとか、川沿いのサイクリングロードに未舗装の場所があるといったような場合は、太いタイヤを装着した街乗りMTBもマッチします。車道と歩道の段差、サイクリングロードと車道の交差するところでの段差、フラットダート、路肩にある側溝のグレーチング……そういった不安要素でも比較的安心して走ることが可能です。
以前は26インチのMTBをベースにしたコンフォートバイクがもうちょっとあったのですが、最近あまり見かけなくなりました。また、MTBのエントリーモデルでも27.5インチとディスクブレーキ付きが多くなってきました。日常での使い勝手を考えると、26インチ、Vブレーキ、リジッドフォーク(サスペンション無し)という構成は、悪くないと思うのですが。
価格が約10万円と、街乗り自転車にしてはちょっと高めではありますが、2つ挙げておきましょう。
こちらはLOUIS GARNEAU(ルイガノ)の「GORDY」。
GORDY / LOUIS GARNEAU / ルイガノ製品紹介.
そしてこちらはFUJIの「MTF」です。
ロードバイク、マウンテンバイク(MTB)、FUJI track(フジトラック)/ピストバイク|FUJI BIKE [フジ自転車],株式会社アキボウ.
どちらも懐かしい雰囲気です。
今回は自転車本体メインで考えていますが、自転車通勤をする上で大事なのは「どれくらいの距離を」「どのルートで」走るのかということです。これから自転車通勤をしよういう人は、手持ちのシティサイクルで良いので、休みの日にでも自宅から職場まで自転車で走ってみると良いでしょう。その結果、なんかちょっと無理かも……と思ったら、「無理してまで自転車通勤しない」という選択も重要です。
2009年版はこちら:自転車通勤にぴったりな自転車って何だろう | CyclingEX.
関連記事:2015年モデル版・初心者のためのクロスバイクの見分け方・選び方 | CyclingEX.
関連記事:無理してまで自転車通勤することはない | CyclingEX.
関連記事: 会社に行くのが楽しくなる!? 2016年春注目の通勤自転車 – CyclingEX
(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。