唐突ですが、富士急行という会社がありますよね。「富士急ハイランド」の富士急行です。大月と河口湖の間に電車を走らせていますが、首都圏の人がいちばんよく目にするのは、バスかもしれません。
富士急の高速バスや観光バスは今では上の写真のようなデザインが主流になっていて、新宿駅の周辺では中央高速バスとして走っているのをひんぱんに見かけます。
そして、一昔前の富士急バスといえば、こんなカラーリングが主流でした。
今でも路線バスはこのカラーが多いようです。総合火力演習を見に行ったことのある大きなお友達のみんなも、シャトルバスでお世話になったかと。
富士山と富士急バス。いいですね。
さて、この黄色/白/緑濃淡という富士急オリジナルカラー、考案したのは富士急の会長で元労働大臣の堀内光雄氏だそうです。そしてこれを実際にバスのデザインに落とし込んだのが、デザイナーの岡田徹也氏です。富士山の雪、紅葉、新緑と夏の緑で、富士の四季を表しているとのこと。
もうかなり前ですが、岡田徹也氏が雑誌のコラムで、この富士急バスのカラーリングについて「環境との調和」といったようなことを書かれていたように記憶しています。
例えば富士急の観光バスが富士山の周辺を走っていたり、どこか他の観光地にお客さんを運んで行ったとき、けばけばしいカラーリングであれば、そのバスのカラーリングばかりが目立ってしまい、道行く人からすると景観が壊されたようなかたちになります。観光バスのカラーリングは、そんなことであってはならないというわけです。
「環境との調和」という発想、スポーツサイクルの世界にも当てはめてみたいと思いました。
もちろん自転車に乗るときは、明るい、派手めの色のものを着ていた方が目立って、被視認性の面では優れているのは間違いありません。だから「環境との調和を考えて地味な色のジャージを着よう」などということを言うつもりはまったくありません。
山の緑にオレンジ色が映えてきれいですよね。
また、レースやイベントなんかは「ハレ」の場ですから、好きなだけ目立って構わないと思いますし、プロのレースは目立ってナンボの面もあるので、これまた別の話でしょう。
でも、ふだん暮らしの中で乗る自転車にとっては、それがスポーツサイクルであっても、そして週末のスポーツライドであっても、山でも海岸線でも街中でも、「環境との調和」という視点があって良いのではないでしょうか。
「派手でも、景観を壊さない」
難しいかもしれませんが、今年はそういうのを目指してみたいなと、基本地味目の四十男が思う次第です。
(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。