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  • 投稿の最終変更日:2014年10月3日
  • 投稿カテゴリー:コラム
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新潟県加茂市の市長が、自転車に乗っていたた男子中学生が乗用車にはねられた事故をきっかけとして、小中学生に対して「自転車にはなるべく乗らないで」と文書で呼びかけたことが話題となっています。

加茂市は1日、交通事故防止のため、自転車に乗らないよう呼びかける文書を市内の全小中学生約2000人に配った。8月に市内で自転車に乗っていた男子中学生が乗用車にはねられ、死亡した事故を受けたもの。自治体が自転車を使わないよう周知するのは異例だが、同日、記者会見した小池清彦市長は「あんな悲しい出来事があってはならない。命を守るためにこの程度は言わせてほしい」と訴えた。

引用元: 自転車乗らないで 小中学生に呼びかけ 加茂市 : 地域 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE).

文書は(1)自動車がたくさん通る中で乗るのは極めて危険(2)なるべく徒歩かバスを利用するのがよい(3)どうしても乗る時は必ずヘルメットを着用するよう―などと書かれている。1日に担任が児童・生徒に手渡した。

引用元: 「自転車乗らないよう」市長要請 新潟・加茂市で疑問の声:社会:中日新聞(CHUNICHI Web).

市内の中学3年の男子生徒(14)は「塾の行き帰りなど、自転車は大切な交通手段。市長の心配も分かるが、行き過ぎだと思う」と戸惑う。40代の母親は「習い事などで親の送迎が必要になり、負担も増える。交通環境を整備した上でなら分かるが、ただ制限するのはよくない」と首をひねった。

引用元: 事故防止のために自転車自粛訴え|社会|新潟県内のニュース|新潟日報モア.

私は新潟県加茂市を訪れたことがありません。交通事故のデータも持ち合わせていません。「自転車に乗った中学生が乗用車にはねられて亡くなった」というひとつの事件が、とてもいたましいことであることは疑いがない一方で、それがどういう状況で起きたものなのかも知りません。自転車以外の、例えば歩いている児童や生徒が交通事故に巻き込まれた事例がどれくらいあるのかも、わかりません。

……と、いろいろ断った上で、件の文書を見ました。

新潟県 加茂市公式ホームページ.

本稿執筆段階では、トップページからリンクが貼られているので皆さんもご覧になってください。

個人的には、実は「結局何をどうしたいのかわかりません……」という感想しか出てこず、一部の「識者」の皆様のような怒りの感情みたいなものは湧いてきませんし、威勢の良いことを断定的に書くこともできません。とにかく、わからなすぎて。

もし本当に自転車に乗る上で危ない環境なのだとすれば、『自転車には、なるべく乗らないようにするのがよいと思います。』というのは、今日からできる緊急避難的な対策であることは事実です。

一方で『そして、なるべく徒歩かバス等を利用するのがよいと思います。』と言われても、じゃぁ歩いてると車にははねられないんですか?という疑問が出てきます。

そして『どうしても自転車に乗らなければならないときは、』『先生や保護者の方々の御指導に従って、交通ルールをよく守って 下さい。』と言っているわけですが、では保護者はどれだけ自転車の交通ルールを知っているのでしょうか。

まぁ、結局のところ、よくわからないのです。

ただ、市長がもし何らかの緊急性を感じてこの文書を発表するのであれば、

・交通教育についてもっと踏み込んでほしい
・今すぐ出来ることと長期的にやるべきことを整理してほしい
・その上で、市長として何をやるべきかを記して市民に対して約束してほしい

……と、個人的には思います。

そして記事のタイトルなんですが、何でしょうね、この、えも言われぬ敗北感は。行政の長からこういう文書が出ることに対する敗北感もありますし、この文書に対してヒートアップしている人を見ると、また別の敗北感を覚えます。なんなんでしょう、コレは。

(Gen SUGAI)



2件のコメントがあります

  1. yamasma

    いつも楽しく拝見させていただいております。
    最近、自転車に興味を持ち始めて、
    記事を読ませていただいておりますが、
    いままではコメントなどは残したことはありませんでした。
    (失礼をお許しください)
    ただ、今回の記事を読んで行政の身勝手さには非常に憤りを感じました。
    自分たちの職務怠慢を反省もせずに、市民に対して不便や負担を一方的に強いているという認識のない加茂市の姿勢に失望を禁じえません。
    交通行政には、すぐにできることとできないことがあるのはわかりますが、すぐにでもできることさえも明確にせずに放棄している。
    自動車、自転車、歩行者という3者が安全に共存できる社会という理想は、今後もっと真剣に議論をしていかなければならないことと思います。
    これからも記事を楽しみにしております。
    (乱筆乱文ご容赦ください。)

  2. fortunechild

     同感です。

     このことへの感想ですが、保護者の方や、一歩譲って、教育現場の方の緊急避難的な対応としての発言であれば、それもありかなと思います。

     しなしながら、市長には、市域内の交通安全に関する一定の責務と道路管理者としての一定の責務、自転車の利便性を向上させる責務が法的にあります。

     その点からすると、短絡的な思考と、それによる行政の長としての責務の放棄ではないかと思います。

     「子どもを殺すな」とのスローガンを掲げた市民運動を契機に、道路交通環境の安全性の向上を進めてきたオランダとは対極的ですね。

     

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