TwitterやFacebookのほうではすでに何度か触れているのですが、2014年8月29日に、東京都の舛添知事が定例会見を行い、その質疑応答において自転車についてのやり取りがありました。
最初に自転車についての質問をしたのは、もちろん毎日新聞の馬場記者です。動画では12分46秒頃から。
なんでしょう、この、まったく噛み合ない話。
ここで話されている各論については、あまりあれこれ言及する価値があるとも思っておりません。ただ、なんとなく感じたことがありました。
「自転車が通行する場所は車道か歩道か」という議論は、本質から外れているのではないかということです。
本来議論されるべきは「自転車の通行環境はどうあるべきか」ではないでしょうか。そして、「自転車には自転車の通行環境が必要だ」ということではないか、と。
その上で「理想はこうだけど」「現実はこうで」「今できることはこれとこれとこれ」「目指すところはこれ」、とか。
「こんなふうにしてみたけどここが良くてここがダメだったから、今後はこうしよう」とか。
そういう議論が必要なはずで。
とくに幹線道路の場合、その自転車の通行環境が設置される場所が、従来「歩道」と呼ばれていた場所なのか、従来「車道」と呼ばれていた場所なのかは、実は本質的な問題ではなく。
「何を作るか」が問題です。
別に、道路を再配分する上で、もともと歩道であった場所が自転車の通行環境に供されても、おかしくはないはずです。ただ、それにしたって、
こんなのわかんないよ、とか。
これじゃ課題がクリアされないよね、という議論なら、わかるのです。というか、そういう議論と研究をちゃんとやらないといけないと思います。
「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」は、いろいろ問題を抱えつつも、議論のベースになるはずだったように思うのですが、何かの勘違いでしたでしょうか?
ついでにと言ったら失礼ですが、「perfect comes from perfect」さんのこちらの記事もどうぞ。私は彼ほどいろいろな海外ドキュメントにリーチする力を持っていないので、いつもうらやましく思っています(笑)
東京都知事が記者会見で自転車政策に言及しましたが、
質問する記者も、回答する舛添知事も、
自転車走行インフラの形態は
安心だが遅い(歩道上)
or
不安だが速い(車道上)
のどちらかしか無いと思い込んでいるようです。
典型的な false dichotomy(偽りの二分法)に陥ってますね。
引用元: perfect comes from perfect: 偽りの二分法.
(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。