今日は、こちらの記事の訂正をしなくてはなりません。
マッカーサー道路(環二通り・新虎通り)の自転車道を走ってみた!
私はあの記事において、道路交通法における「自転車道」の定義を根拠に、「少なくとも道交法的には、自転車道みたいなものであり、自転車道ではありません」と書きましたが、これを取り消さなければならないのです。
きっかけは自転車ツーキニスト・疋田智さんが、この新虎通りの自転車通行環境について『自転車道である』という解釈を書かれたからです。私は「どこをどう見ても道交法上の自転車道ではない」と思っていたのですが、まぁ、だったら問い合わせたほうが早いよね……ということで、警視庁のWebサイトから問合せをいたしました。問合せ主旨はもちろん「新虎通りの自転車通行環境は、道交法の自転車道か否か」です。
そして本日、警視庁交通部交通規制課よりご返答をいただきました。ありがとうございます。
『結論から言いますと、新虎通りの自転車通行環境は“自転車道”として整備されております』
……とのことでした。新虎通りの自転車通行環境は、道交法上の自転車道として指定されているのです。自転車道の無い道路から新虎通りに入る際、車道から自転車道の存在に気づけなかったり、気づいてもすぐにそこに入ることができなかったりすることがありますが、そのような場合でも車道を通行し続けるのではなく、直近の切れ目から自転車道に入ってそこを通行するのが、道交法上の正しい振る舞いということになります。
現実には、下記のようなケースで注意が必要です。虎ノ門方面から汐留方面に向かい、R15を通り越して電通のほうまで行きたいようなとき。
R15の手前で自転車道が終わります。
そしてこのような構造を目にしたら、車道に出るというのが筋というものです。
R15との交差点で停止線で信号待ちをしていると、左側に「自転車通行可・ここまで」の標識がありました。車道に出る判断は正しかったようです。
赤信号の間、目の前を多数の車両と歩行者が通り過ぎて行きます。そしてR15側が赤信号になったら、私は前方の信号を見たり、自分の後方の車両を軽く目視したりします。
青信号になったので、車道を直進しましゅわあああああ、左に自転車横断帯があるぞ! でもこの段階から左に行って自転車横断帯を通って……というのはむしろ危ない行動に思えるので、車道を直進します。
車道を直fんれskgんlhkj!!自転車道あんの!?
自転車道に入れません。
道路交通法第63条の6では、「自転車横断帯がある場所の付近においては、その自転車横断帯によって道路を横断しなければならない。」とされております。
引用元: 自転車横断帯のある交差点を自転車で横断する際は、自転車横断帯を進行しなければならない。 :警視庁.
この段階で私は、自転車横断帯は通らないわ、自転車道は通らないわ……ということで、見ようによっては、まったくひどいサイクリストということになります。
第六十三条の三 車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する二輪又は三輪の自転車で、他の車両を牽引していないもの(以下この節において「普通自転車」という。)は、自転車道が設けられている道路においては、自転車道以外の車道を横断する場 合及び道路の状況その他の事情によりやむを得ない場合を除き、自転車道を通行しなければならない。
引用元: 道路交通法.
後は、自分の行動が『自転車道以外の車道を横断する場合及び道路の状況その他の事情によりやむを得ない場合を除き』に該当するかどうか、でしょうか。よくわかりませんが。
なお、ちょっと古い資料なのですが、国土交通省社会資本整備審議会都市計画・歴史的風土分科会 都市計画部会第6回都市交通・市街地整備小委員会の参考資料(PDF)には、道路交通法の一部が紹介されており、
車道上に単に道路鋲または区画線を設けて自転車通行帯を区分しているものは、 自転車道とは言えない。また、従来、歩道とされていた部分を縁石線さく等の工 作物により区画した自転車通行帯については、車道上に設けられたものではない ので、自転車道とは言えない。
という記述があります。つまり国交省は道交法をそう解釈していた、と。
ただ、道路構造令上は、
第二条 この政令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 歩道 専ら歩行者の通行の用に供するために、縁石線又はさくその他これに類する工作物により区画して設けられる道路の部分をいう。
二 自転車道 専ら自転車の通行の用に供するために、縁石線又はさくその他これに類する工作物により区画して設けられる道路の部分をいう。
引用元: 道路構造令.
……というふうになっているのも事実です。
まぁ、いずれにしましても「新虎通りの自転車通行環境は“自転車道”である」ということで、ひとつ、勉強になりました。
追記:答えは無いのですが、関連記事としてこちらもご覧ください。
しかし、中央線の特急電車に揺られている最中に、ふと思いました。
歩道側の面だろうが車道側の面だろうが、既存道路でかつて歩道であった場所だろうが、新設道路であろうが、『自転車の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によつて区画された』ものは、それはもう道交法的にも「自転車道」であり、そしてそれは道交法上は「車道として考えますよ」という話なのではないか、と。
引用元: もしかして:道交法における自転車道の「〜車道の部分をいう」って…… | CyclingEX.
(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。
訂正の必要は無いと思いますよ。
2014年4月10日時点での新虎通りの自転車通行空間は、以前の記事
(http://www.cycling-ex.com/2014/04/10_macarthur.html)で
Sugaiさんが書かれた通り、道交法の「自転車道」の定義から外れます。
疋田さんの解釈というのがメールマガジンの記述
(http://melma.com/backnumber_16703_6023503/)
を言っているのであれば、あれは単なる皮肉でしょう。
警視庁交通部交通規制課からの回答も、引用された範囲では
「道交法上の自転車道です」とは明言していませんよね。
また、公安委員会が同区間を「自転車道」として指定し、
標識を設置したとしても、それが法的効力を発揮するとは限りません。
(http://blog.jablaw.org/?eid=1074730)
仮に法的に有効な「自転車道」であったとしても、
記事中でも触れられているように道交法63条の3の例外規定が有りますから、
必ずしも常に走行義務が発生するわけではありません。
それと、道路構造令は道路での交通参加者の振る舞い方を
規定する法令ではありませんから、今回の議論には関係有りません。
尤も、新虎通りの本質的な問題は自転車道の定義云々ではなく、
その自転車通行空間が誰でも安全・快適に走れるものに
なっていないという点でしょうね。
いちおうこちらとしては、ここに記した以外のやりとりも含めて「道交法上の自転車道である」と回答をもらったつもりでいるのですが、もう少し確認したいこともありますので、整理して再質問する予定です。
そうでしたか。ただ、警察も含め、いわゆる「専門家」の認識がどの程度正確かという問題も有りますね。
自転車事故の裁判例を集めた『自転車事故過失相殺の分析』という本(http://www.amazon.co.jp/dp/4324086567)が有るのですが、その中にも、裁判官や著者が「自転車道」でないものを「自転車道」と誤認したと思われる例が幾つか出てきます(p. 260, p. 319, pp. 326-327)。