[2014.10.23 追記] こちらの記事は2014年モデル版です。
新たに2015年モデル版をアップしました。記事はこちらをクリック!
クロスバイクとは、マウンテンバイク(MTB)のタフさとロードバイクの速さの中間を狙ったジャンルであり、趣味と実用を兼ねてスポーツサイクルを始める「最初の1台」には、うってつけの存在です。
CyclingEX 2014 春
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しかし実際に自転車メーカーのWebサイトや雑誌を見ていると「クロスバイク」にも実にいろいろあって、何がどう違うのか、何を選んだら良いのかわからなくなってしまいます。「予算に応じて色とカタチが気に入ったのにすればいいじゃん」とも思いますが(笑)、自転車なんて2万円で買えると思っていた人が「クロスバイクを買う」となると、一大決心が必要であることも確かです。
というわけで今年も、昨年に引き続いて、初心者の方のためにクロスバイクの「性格」の見分け方、選び方を紹介したいと思います。
■クロスバイクの種類
クロスバイクも、その構造によっていくつかに分類することができます。本稿では便宜上、下記のように分類しました。決まった呼び方があるわけではありませんので、あしからず。
・前サス無しのクロスバイク
・スピード系クロスバイク
・前サス付きのクロスバイク
この3つについて、もうちょっと詳しく紹介します。
■安定感のある定番タイプ「前サス無しのクロスバイク」
かつてクロスバイクと言えばフロントサスペンション付きが当たり前の時代があっりました。しかし、フロントサスペンションは乗り心地こそ良いものの、重量はかさみます。そこで、サスペンションではない「リジッドフォーク」として軽快感を重視するものが増えてきました。今ではむしろ、このスタイルが「いかにも」という感じのクロスバイクと言えるでしょう。
代表格として下記の3つを挙げておきます(車名をクリックすると紹介記事にジャンプします)。
・TREK 7.4FX(上写真)
※TREK FXシリーズ2015年モデルはこちら
・Cannondale Quick 4
・BRIDGESTONE CYLVA F24
・RITEWAY SHEPHERD CITY
※RITEWAY SHEPHERD CITY 2015年モデルはこちら
・GIANT SEEK 3
■いつかはロード……の思いを胸に「スピード系クロスバイク」
クロスバイクはMTBとロードバイクの良いとこどりだと言われますが、フレームがMTBをベースとしたものであることが多く、ロードバイクに比べればどうしても軽快感に劣ります。そこで「クロスバイクといえども、ロードバイクに近い軽快感を!」ということで、フレームを軽量化、ホイールベースを短縮して旋回性能を向上、そして700×28Cなど細めのタイヤを装備したものが出てきました。出始めは「スピードバイク」などと呼ばれていましたが、ここでは「スピード系クロスバイク」と分類します。
代表格として下記の3つを挙げておきます(車名をクリックすると紹介記事にジャンプします)。
・GIANT ESCAPE RX3(上写真)
・LOUIS GARNEAU LGS-CHASSE
・Bianchi CAMALEONTE 2 ALU – ALTUS 9SP TRIPLE
・GIANT ESCAPE R 3(2015)
■未舗装路も走るアナタに「前サス付きのクロスバイク」
比較的安価だけど、タフなフレーム、700Cというロードバイクと同じ径のホイール、だけど32C〜38Cとタイヤは太め。もっとも安価なクラスはサスペンションのないフロントフォーク、中級グレード以上はサスペンションのついたフォーク……といった構成です。「比較的安価」と書きましたが、このスタイルで10万円を超えるような「高級車」も、ないわけではないです。
都会の人間、しかもクロスバイクからロードバイクへステップアップした人は「フロントサスペンションなんかいらない」と言いますが、実際のところ好みは人それぞれです。いつもの通勤・通学ルートに未舗装の河川敷道路なんかが含まれている人は、フロントサスペンションがあったほうが快適です。ただ、安い「なんちゃってMTB」に付いているそうなリアサスペンションは、ペダルを回す力が逃げて行くばかりであまり魅力的とは言えません。
それはさておき、代表格として下記の3つを挙げておきます(車名をクリックすると紹介記事にジャンプします)。
・MERIDA CROSSWAY U-TRAIL TFS 300-MD(上写真)
・CENTURION CROSS LINE 100
・KONA SPLICE
■わかりやすい目安は「タイヤの太さ」
さて、メーカーのカタログを眺めて、クロスバイクのキャラクターをどのように見分けるか。フロントサスペンションの有無は、写真で見分けがつきます。それ以外でわかりやすいのは、タイヤの太さでしょう。
クロスバイクで一般的な「700C」という径のタイヤの場合、タイヤのサイズ表記は「700×28C」や「700×32C」などとなっています。この「28」や「32」というのが、タイヤの幅です。数字が大きいほど、太いタイヤです。
シティサイクルの感覚からすると、32C〜38Cあたりのタイヤだと違和感がないはずです。28Cや25Cなどになってくると「こんなに細くてパンクしたり溝にはまったりしないかな?」と不安を抱く人もいます。
そして、ロードバイク的な性能を目指したスピード系のクロスバイクなら、700×28Cのタイヤを標準装備するのが定番です。一方、安定感を重視するほど、タイヤは32C→35C→38Cと、太くなっていきます。
■「ジオメトリー」もチェックしてみる
ちゃんとしたスポーツサイクルメーカーのカタログには、ジオメトリー(ディメンション)図が掲載されています。「フレームのここからここまでが○mm」といったことを説明している図です。
上図は大手メーカー「ジャイアント」の図です。各部の名称がわかりやすいので、掲載しました。この下に表組で「Aが○○○mm、Bが○○○mm」といったようなことを載せるわけです。
具体的に、その人にとってどのサイズが最適かということは、体格や柔軟性、用途等によって変わってしまいますので、自転車店でご相談いただくとして、とりあえず「チェーンステー長(リアセンター)」「ホイールベース」をチェックしてみてください。乱暴に言えば、リアセンターとホイールベースが長いほうが、直進安定性に優れた自転車になります。逆に短ければ、軽快感を狙った設計です。
もうひとつ、「ヘッドチューブ」にも注目。ヘッドチューブが長いほど、ハンドルが高めにセットしやすくなります。ハンドルが高いほうが、ビギナーの人はとっつきやすくなるでしょう。
※ちなみに……
タイヤが700×28C以下で、チェーンステー長もリアセンターも他のクロスバイクと比べてとても短い……そんな自転車は、クロスバイクではなく「フラットバーロードバイク」かもしれません。そのメーカー/ブランドのカタログを眺めて、同じフレームのカタチでドロップハンドルのモノがあれば、その可能性が高くなります。
フラットバーロードバイクは、ブレーキもロードバイク用のものが付いています。クロスバイクには、だいたい「Vブレーキ」と呼ばれるものか、ディスクブレーキが付いています(今後、ディスクブレーキのフラットバーロードバイクも出てくるかもしれません。そうなると、見分け方はタイヤとジオメトリーくらいになります)。
■ちょっと気にしておきたい「リアエンド幅」
リアエンド幅って、なんでしょう。メーカーによっては「OLD」なんて呼んだりもします。これは大雑把に言えば、フレームの、リアのホイールがはまっている部分の「幅」です。そんなところの幅、自転車なんてどれも同じなんじゃないの?と思われるかもしれませんが、実は違います。
ロードバイクならリアのエンド幅は130mm、MTBなら135mmや142mmなどが多数派です。ロードバイクでもディスクブレーキのものは、135mmが採用されるようになってきました。ではクロスバイクはどうかというと、130mmものと135mmのものが多くなっています。
先ほどちょっと出てきた「700C」という径の車輪で、リアのエンド幅が130mmのクロスバイクですと、ロードバイク用として販売されているホイールに交換することが可能です。一方、径が700Cでエンド幅135mmのホイールは完成品としてはあまり販売されておらず、ホイールを交換するというカスタムはやりにくくなります。
以上を乱暴にまとめますと、シティサイクルからの乗り換え、そしてシティサイクルの延長線上で、ゆったり乗りたいのならば、ホイールベースが長めでタイヤの太いモデルがおすすめです。スポーティで軽快感のあるクロスバイクが欲しいなら、タイヤが細めのものがおすすめです。そして「いつかはロードバイクがほしい……」という気持ちがあったり、「ゆくゆくはより速く、軽くカスタムしてみたい……」と考えている人は、リアのエンド幅が130mmのものを選ぶと良いのではないかと思います。
もちろん、Web上で数字を見ているだけでは、あなたにとって最適な自転車を選ぶことはできません。「自転車ってどれも似たように見えて、結構違うんだ」ということをアタマに入れつつ、やはり自転車専門店で相談するのがいちばんです。たくさんの人と自転車を見てきたお店なら、最適なフィッティングを施してくれるでしょう。
関連記事:Kindle書籍「CyclingEX 2014 春」が出ました|これからクロスバイクを買いたい人に向けた内容となっています!
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[2014.10.23 追記] こちらの記事は2014年モデル版です。新たに2015年モデル版をアップしました。記事はこちらをクリック!
(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。