GIANTのESCAPE RシリーズやRXシリーズを説明するときに「スピード系クロスバイク」という言葉が使われることがあります。明確な定義があるわけではありませんが、700×28Cのタイヤを履き、リアセンターは短めで、ぱっと見はフラットバーロードバイクのようだけど、Vブレーキで……といった構成のクロスバイクに対して、使われます。
スピード系クロスバイクの元祖のように扱われる、GIANTのESCAPE Rシリーズですが、ESCAPE Rシリーズが登場する数年前に、FELTから「スピードバイク」と称されるシリーズが出ていました。「スピード系クロスバイク」という言葉が使われるきっかけは、今思えば、このFELT SRシリーズにあったように思います。
メーカーのサイトにはさすがに残っていなかったのですが、いろんなメーカーの過去のバイクデータを公開しているサイトで、当時の写真やスペックを見ることができます。
2003 Felt SR71 – New and Used Bike Value.
2003 Felt SR81 – New and Used Bike Value.
2003 Felt SR91 – New and Used Bike Value.
フレームは7005アルミ、SR71とSR81はカーボンフォークでした。リアセンターはそれまでのクロスバイクと比べるとかなり詰まっていて、今見てもフラットバーロードのようですよね。フラットバーロードではないし、それまでのクロスバイクとも違う……そんな気持ちを込めて、FELTは「スピードバイク」と呼んだのでしょう。
2003年モデルの価格は見つけることができませんでしたが、2006年モデルはありました。
こちらのページによれば、SR71が144,900円、SR81が104,790円、SR91が83,790円、さらにその下にSR101というモデルがあって、62,790円だったようです。
このSRシリーズ、それなりに人気のあるモデルだったと記憶していますが、その後、2007年モデルではカタログから消えていたはずです。2007年モデルの展示会では、フラットハンドルで取っ付きやすいSRシリーズの役目は終わって、その後継的な意味合いで投入したのがロングライド系ロードバイクのZシリーズ……という話を聞いたような覚えが。
ちなみに2003〜2004年頃にGAINTが出していたスポーティなクロスバイクはというと、覚えている人は覚えている「CRS」シリーズです。
こちらがCRS2(2003)。
見た目はESCAPE Rシリーズ同様にスポーティーですね。ただしジオメトリーの考え方がまったく異なっていて、トップチューブは長めで、ハンドルは意外と低くて遠いものでした。
スポーティーなクロスバイクにコンフォート系のジオメトリーを持ち込んだESCAPE Rシリーズが登場するのは、2004年秋に登場した、2005年モデルからでした。
2003年頃のGIANTは、街乗り自転車に関しては「FCR」に力を入れていた印象があります。
(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。