CyclingEXでは一昨年に「TOKYOバイクコンシャスアワード」というネタをやりましたが、カタチを変えて復活させる予定です。具体的には、自転車の利用環境に関する「これいいよね」っていう事例を紹介していきたいと思います。まずは自分で巡れるところから巡って、記事にしたり、ある程度本数がまとまったらKindle本に再編集して発売したり……といったことを考えているところです。もう少ししたら、より具体的にお知らせしたいと思います。
さて今回は、相模原市の自転車通行環境に関する取り組みをいくつか紹介したいと思います。相模原市ではモデル地区を設けて自転車通行環境を整備していますので、それを2〜3回に分けて記事にします。まずは、JR相模原駅近くに設けられた自転車専用通行帯について。
モデル地区について。
そして今回紹介する場所を地図で示します。
より大きな地図で 西門〜相模原駅横 を表示
自転車のハンドルにカメラをマウントして動画を撮影しましたので、まずはそのキャプチャ画面とともにお届けします(動画は最後のほうで)。
↑東側のスタート地点となる西門交差点です。相模原駅方面に進みますと……
もうちょっと……
車道の左側が青くペイントされた自転車専用通行帯が出てきました。自転車専用通行帯の道路標識もありますね。一方で、いきなり路上に停められたクルマに出くわすのも現実です。
早めに後方確認をして手信号を出し、クルマを避けます。
自転車専用通行帯がありますが、それでも歩道を通行している自転車はいます。また、赤丸のところを見るとわかるように、この道路は駐車禁止です。逆に言えば停車はできることになります。5分以内の積み降ろし、例えば業者さんが店舗に段ボール箱ひとつ届ける程度であれば、ここに停めてあっても違法ではありません。
商店やオフィスが多いので、こういう場面が多々あります。
それでも、車道の左側が青くペイントされていることによって「自転車は車道の左側を走るものだ」ということが認識されやすいのはメリットでしょう。
シティサイクルの男性が自転車専用通行帯を通行していました。ここで自転車専用通行帯はおしまい。700m弱です。
そのまま直進すると左折レーンが出てきますので、直進する自転車は注意が必要です。
……といった具合でありました。
見て頂いたように、路上に停まっているクルマが多いのは難点ですが、車道の左側が青くペイントしてあるだけでも、「ここは自転車が通行する場所だ」という認識ができますので、その面ではたいへん有効でしょう。自転車が路上駐車を回避する場合も、このような道路の構造であれば「自転車が右側に出て、また左端に戻っていく」ということが想像しやすいかと思います。もちろん、自転車側には後方確認や手信号といった動作が求められるのは、言うまでもありません。
そして、この自転車専用通行帯が有意義であるからこそ改善してほしいと願うのが、やはり路上駐車。私自身は「貨物の積み降ろしや人の乗降による停車はしかたがない」という考えです。しかし、この自転車専用通行帯に停められたクルマを見ると「これ明らかに駐車だよね」というものも見受けられました。地元の相模原市中央区では、
6月25日(火曜日)、相模原警察署と、地域交通安全活動推進委員22名により、違法駐車追放パトロールが行われました。
相模原警察署前から出発し、「西門通り」と「さんはぜ通り」の自転車専用通行帯など駐車禁止区域に駐車している車両に対して、駐車をしないように呼び掛け、啓発活動を行いました。
引用元: 違法駐車追放パトロールが行われました | 相模原市.
……といった取り組みも行われているそうですので、よりいっそうの推進をお願いしたいところです。
また、このモデル地区が「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」(2012年)よりも前の、2008年に指定されていることもあってか「現場なりに苦労したんだろうけど、よくわかりません」的なことがあるのも事実です。
実は今回、逆方向の動画撮影に失敗してしまったので、とりあえず下記のストリートビューをご覧下さい。
これは、相模原駅前から西門交差点へと走ったときの、西門側の終端です。自転車専用通行帯が途切れてしまうのは仕方が無いとして、よく見ると、自転車は歩道を進むように促す路面表示がありますありました。
そもそもなぜここで自転車専用通行帯が途切れているかというと、この先の交差点前が2車線になり、自転車専用通行帯のスペースが無いからなんですね。このような交差点部の処理については「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」で例が示されているので、この場所についても今後、見直されることを期待したく思います。
<2013/8/23 16:20追記>自転車は歩道を進むように促す路面表示があります→ありました……と訂正します。走行動画が撮れているものだ、路面表示はあるものだという思い込みがあったのですが、改めて確認したところ、問題の路面表示は無くなっていました。
お詫びして訂正いたします。
<追記終わり>
この自転車専用通行帯、十分意義があるし、運用次第でもっと良くなります!
記事が長くなってしまうけど、もう少し続きがあります。
国道16号の相模原署前交差点から、上記自転車専用通行帯が設けられている西門交差点に至るまでの道路にも、自転車専用通行帯があります。
こちらはちょっと、不可解でありました。
まず歩道の画像から。
なぜ右側すれ違い?
「交通の方法に関する教則」の第3章第2節には『歩道でほかの自転車と行き違うときは、速度を落としながら安全な間隔を保ち、歩行者に十分注意して、対向する自転車を右に見ながらよけるようにしましよう』とあります。
実は本線とは別に側道があり、この側道に自転車専用通行帯が設けられています。そして側道とともに自転車専用通行帯は終わります。自転車は本線の車道に出るか、自転車通行可の歩道に上がるかを選択しなくてはなりません。ここから、まっすぐ歩道に上がるとどうなりますか。
奥のほうから「自転車A」が青い部分を手前に走ってきて、そして歩道に上がると……。そしてそのとき、写真手前から奥に、歩道の左側(車道側)を通行する「自転車B」がいて、その自転車が側道の横の歩道へと進もうとすると。
そうだね!交錯するね!
そこで最初から右側ですれ違うようにすれば!
_人人人人人人人人_
> 交錯しない! <
 ̄^Y^^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
……という意図であるとしか考えられないのですが、これは少々、理解が難しいように思います。交通の方法に関する教則との不整合も気になるところです。ここはいっそ「自転車は車道の左側」を徹底し、商店街に面したこの歩道については自転車を押し歩いてもらうくらいの、思い切った施策があってもよいのではないかと思いました。
がんばれ、相模原市!
今回の内容は、以上です。最後に西門〜相模原駅横の走行ムービーを貼り付けて、終わりにしたいと思います。
次回はお待ちかね!?国道16号の自転車道を中心にお届けします。
(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。
車道左側の徹底、歩道の押し歩き賛同します。
故郷の近所はこんなに整備されて居るのに…こちら大阪は道が広い、道に対して車の数が少ないにも関わらずと言いますか、余裕が有るから悪循環と成っています。
ヨーロッパでは、自転車が普通にハンドサイン出し、ドライバーは自転車を認識して普通に道を譲っていますよね。
日本もせめて教習所内だけでも、車、自転車等とシェアしている意識を高めて欲しいと思います。