先日の記事でディティールを紹介した、ブリヂストンサイクルのニューモデル「CHeRO(クエロ)」。細身でホリゾンタルのフレームと、レザーテイストのパーツが特徴のニューモデルです。それぞれ30分ほど都内で乗ることができましたので、簡単ながらインプレッションを。
●700Cモデル
バイクフォーラム青山でクエロの700Cモデルをお借りして、乗り出す前にちょっと持ち上げてみます。ん……最近軽量なクロスバイクに慣れた身としては、はっきり言って軽くはありません。カタログ重量で12.5kg(540サイズ)とあります。ただ、スペックを考えれば標準的な重量でしょう。
アーレンキーでサドルを適切な高さに調整して、いざ外苑西通りを走り出してしまえば、重量を気にすることはありませんでした。チェーンリングが44T、スプロケットは13〜26Tと十分なギアが用意されているので、かつて「なるしまフレンド」があった坂道を鳩森神社に向けて上っているときもスイスイと進みます。
いくらクロモリフレームと言えどもフォークはハイテンスチールですし、49,800円の自転車に「クロモリらしいのバネ感」を望むのは酷な話だと思いますが、それでも路面の継ぎ目などを高めのスピードで通過したときなどに身体で感じるショックは、角が取れたコツンとしたもの。32Cと太めのタイヤを装着していることもあって、自転車全体としては安定感があってやさしい乗り心地になっていると思います。
カンチブレーキの効きは十分。ライバル視される他ブランドの似たルックスの自転車では、23C〜28Cの細いタイヤと安価なロード用キャリパーブレーキの組み合わせが多いですが、モノによっては「止まらない!」と感じてしまうことがあるのも事実。その点、クエロは安心して乗ることができそうです。
ひとつ戸惑ったのは、シフターの位置です。ダウンチューブシフターは結構低い位置にあるので、数年ぶりにダウンチューブシフターの自転車に乗った私は、一瞬レバーを探してしまいました。もちろん、しばらく乗っていれば慣れます。変速のたびにハンドルから右手を離す以上、あまり頻繁に変速しようという気にはなりませんが、それはそれで平和な感じはします。
●20インチモデル
続いて20インチモデル。タイヤは20×1.35HE、ETRTOサイズは406です。
チェーンリングは46T、スプロケットは11〜30Tですから、車輪の小ささもあって漕ぎ出しはさすがに軽いです。小さい分、車重も少しですが軽くなっています(510サイズで11.5kg)。
700Cモデルと違ってシフターはヘッドチューブの上のほうにあるので、変速操作の際に手が移動する距離はずっと短くて、700Cよりは頻繁に変速する気になれます。そして思いのほか加速性能も良く、ストップアンドゴーの多い街中で小気味よい走りを楽しむことができます。
乗り心地、安定性とも20インチの小径車としては良いほうでしょう。乗り心地に関してはクロモリフレームであることと、1.35幅のタイヤが効いているようです。長めのホイールベースで安定感もあります。図体の大きい私が20インチモデルに乗ると見た目はちょっと冗談みたいな感じになるのですが、マイペースで走っている限りは安心して身体を預けられました。
●両方乗ってみて
700Cと20インチ、サイズこそまったく異なるものの、クエロらしさというか、統一されたイメージは乗ってみて感じることができました。700Cの項で『49,800円の自転車に「クロモリらしいのバネ感」を望むのは酷』などと書きましたが、それでもスチールフレームらしさは十分に感じることができるし、実際に乗って、そして他の同じような価格帯の自転車に乗った記憶と照らし合わせてみると、クエロは価格以上の価値を感じる自転車のひとつだと思います。
このスタイル、この走り、そして「ブリヂストンサイクル」であるという安心感を考えたら、お得です。
(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。
ピンバック: 名車の系譜を受け継いだスタイルと性能、そして真面目なつくり……ブリヂストンサイクル「CHeRO(クエロ)」商品開発担当者インタビュー | CyclingEX