Hornby Separated Bike Lane by Paul Krueger, on Flickr
前回の記事では、自転車通行空間を整備するにあたっては、すべての道路をいっぺんに改良するのは無理なので、まずはネットワーク路線を選定するというところを紹介しました。今回は、そこで選定された路線を、どのようにして整備するのか、その整備形態のお話。本論の「I.自転車通行空間の計画>2.各作成手順における技術検討項目及びコミュニケーション・合意形成項目>2.3 整備形態の選定」のところです。
本文中には、こんなふうに書かれています。
自転車は「車両」であるという大原則に基づき、自転車が車道を通行するための道路空間について検討するものとする。この場合、「車道を通行する自転車」の安全性の向上の観点から、自動車の速度や交通量を踏まえ、自転車と自動車を分離する必要性について検討するものとする。
具体的には、道路状況と整備方法は次の3パターンに分類されます。
自動車の速度が高い道路(A)では、自転車と自動車を構造的に分離するものとする。また、速度が低く自動車交通量が少ない道路(C)では、自転車と自動車は混在通行とするものとする。その中間にあたる交通状況の道路(B)では、自転車と自動車を視覚的に分離するものとする。
ちなみに
自動車の速度が速い=時速50km以上
自動車の速度が遅い=時速40km以下
自動車交通量が少ない=4,000台/日以下
という目安も示されています。
そして、A/B/Cの3パターンに対して、どんなふうに自転車の通行環境を整備するかというと、下記のように書かれています。
A.自転車と自動車を構造的に分離する場合
→自転車道を整備するものとする。
B.自転車と自動車を視覚的に分離する場合
→自転車専用通行帯を設置するものとする。
C.自転車と自動車を混在通行とする場合(以下、「車道混在」という。)
→必要に応じて、自転車の通行位置を示し、自動車に自転車が車道内で混在することを注意喚起するための路肩のカラー化(写真I-1参照)、車道左側部 の車線内に帯状の路面表示(写真I-2参照)やピクトグラムの設置(写真I-3 参照)、自動車の速度を抑制するための狭さく、ハンプの設置等を検討するとともに、自動車の一方通行規制や大型車の通行抑制等を検討するものとする。
カラー図版での説明もあります。
ここでちょっと、「はじめに>3.用語の定義」に戻ります。
自転車道と自転車専用通行帯の違いを確認しておきましょう。
自転車道
道路構造令第 2 条第 1 項第 2 号に規定される、専ら自転車の通行の用に供するために、縁石線又は柵その他これに類する工作物により区画して設けられる道路の部分をいう。なお道路交通法上も、自転車道として扱われる。
自転車専用通行帯
道路交通法第 20 条第 2 項の道路標識により、車両通行帯の設けられた道路において、普通自転車が通行しなければならない車両通行帯として指定された車両通行帯をいう。
自転車道とは構造的に分離されたもの、自転車専用通行帯は、一般に「自転車レーン」などと呼ばれる、車道上の通行帯です。
というわけで、自動車の流れる速度や交通量等に応じて、自転車道を作るか、はっきりと自転車レーンを設けるのか、それともレーンとまではいかなくても「自転車は車道の左側を走る」ということをペイント等で示すのか、いずれかを選択しましょう——ということが、書かれているわけです。
まだまだ、続く。
(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。