(Seville Bicycle Lanes by adrimcm, on Flickr)
11月末に国交省が発表した「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」。今後の自転車通行環境整備に対して重要な役割を果たすと思われますが、ボリュームがあって内容を読み解くのがちょっと大変です。もちろん私も目を通しましたが「理解した」とは言いがたい状況。そこで、ちょっとずつ内容を追ってみたいと思います。
●安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインってなんだ
ガイドラインの冒頭にあります「はじめに>1.背景」と「>2.ガイドラインの位置づけ」に、経緯を加えて乱暴にまとめると下記のようになるかと思います(だいぶ乱暴です)。
環境問題や高齢化社会のことを考えると、クルマ以外の多様かつ安全な交通手段の確保が重要。その中でも自転車が担う役割は大きい。しかし、交通事故は減っているのに、自転車の事故は減らない。むしろ増えている。なんとかしなくちゃ。
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3.11の影響で自転車利用者増加。
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警察庁、2011年10月に自転車総合対策を発表。「自転車事故減らせったって道路の構造がなってない。道路管理者や自治体と連携して通行環境の確立を支援します。交通教育もやるよ」(→国交省の重い腰を上げさせる)
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よっしゃ自転車の通行環境を整備しよう(しかし問題を解決しようにも関連の法律は複雑)。
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国交省から各地方自治体に対して、自転車の通行環境整備について標準的な考えを示そう。
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有識者会議で提言をまとめる=みんなにやさしい自転車環境 -安全で快適な自転車利用環境の創出に向けた提言-
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自転車のためにも歩行者のためにも「自転車は車両、自転車は車道」が基本。
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提言や研究結果等をもとにガイドラインを作りました=安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン<今ここ
●どうやって計画し整備していくのか:ネットワークを作る
ガイドライン本文にあります用語説明はおいおい、出現したときにおさらいするとして、まずは本論冒頭、自転車の通行環境をどう計画・整備するのかというところを。ガイドラインの「I.自転車通行空間の計画>1.自転車ネットワーク計画の作成手順」です。ガイドラインでは6つの手順が書かれています。
(1)基本方針、計画目標の設定
(2)自転車ネットワーク路線の選定
(3)整備形態の選定
(4)個別路線の詳細な構造等の検討
(5)自転車ネットワーク計画の決定
(6)計画の評価、見直し
ここでは、一気に自転車の通行空間を整備することは現実的ではないから、(1)まず面的なネットワークを構築することを考え、(2)整備する道路を決定し、(3)どんな構造にするのか検討し、(4)必要に応じて個別に詳細を検討の上、(5)地元等とちゃんと合意形成し、優先順位も付け、(5)整備計画を実行し、事業の進捗は適宜評価し必要なら見直してね——と、書かれている、と解釈。
で、より詳細に入っていくわけですが、とりあえず今回はここまで。もちろん続きますが、大変だこりゃ。
(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。