自転車で事故を起こして救護義務を怠った男性に対して、150日の免停処分が下されたことが話題となっています。
東京新聞:自転車事故で免停処分 奈良の男性:社会(TOKYO Web)
自転車に乗ってバイクと接触事故を起こし、相手にけがを負わせたのに逃げたとして、奈良県警は二十日、奈良市の無職の男性(61)を百五十日間の自動車などの運転免許停止処分にした。県警によると、自転車の運転で免許停止になるのは異例。県警は「自動車に乗っても同様のことをする可能性があるため」と処分理由を説明している。
自転車でひき逃げ 「車でも危険の恐れ」と免停 : ニュース : 関西発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
県警によると、男は5月10日午後7時頃、自転車で同市内の市道を走行中、後方の安全を確かめずに道路を横断。後ろから来たオートバイとの衝突事故を招き、運転していた男性(37)に重傷を負わせて逃げ、約2時間後に出頭したという。事故の際、男も自転車ごと転倒したが、けがはなかったという。県警は道交法違反(ひき逃げ)と重過失傷害の容疑で書類送検している。
自転車の運転めぐり車の免許停止! バイクと接触事故で救護せず – 政治・社会 – ZAKZAK
大阪市でも1月、自転車で国道を横断した際に死亡事故を誘発したとして、60代男性が免許停止処分を受けている。
さて「自転車の運転者に対して免停なんかできるの?」という切り口の記事を掲載したのがJ-CAST。記事では次のように書かれています。
自転車で事故起こして運転免許停止 「それは本当なのか」と驚きの声 (1/2) : J-CASTニュース
道交法では自転車は軽車両に該当し事故の際には救護義務が課される以上、道交法違反での書類送検は理解できる。だが、自転車の過失事故によって、同じ人物の自動車免許が停止となるのは、どのような法律に基づくものなのか。
道交法の免許停止規定には病気や重大な違反などがあるが、県警運転免許課はJ-CASTニュースの取材に対し
「今回の免停処分は道交法の103条第1項8号が根拠になっています」
と話す。
道路交通法 103条第1項8号というのが出てきましたので、条文をあたってみましょう。
リンク:道路交通法
その、103条。
第百三条
免許(仮免許を除く。以下第百六条までにおいて同じ。)を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その者が当該各号のいずれかに該当することとなつた時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる。ただし、第五号に該当する者が前条の規定の適用を受ける者であるときは、当該処分は、その者が同条に規定する講習を受けないで同条の期間を経過した後でなければ、することができない。
そして103条の、第1項8号。
八
前各号に掲げるもののほか、免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき。
なるほど確かに書いてあります。
自転車の運転者が交通違反を犯した場合に赤切符が交付されたり、無謀な自転車運転で死亡事故を誘発した人が重過失致死に問われたりといったことがありましたが、運転免許を有している場合、自転車での違反・事故であっても免停はあり得るのですね。
(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。