TREK(トレック)のクロスバイクで中核モデルとなるのが「7.5FX」。その試乗車にまたがる機会があったので、短評をお届けします。今回試乗車を貸してくださったのは、トレックを専門に扱う「バイクプラス多摩センター店」です。
<7.5FX 2011年モデル>
一時期、GIANTのESCAPE Rシリーズに代表されるような「ロードバイクらしさを持ったクロスバイク」が増えた中にあって、TREKのFXシリーズは、「クロスバイクらしいクロスバイク」です。MTBっぽいフレーム、長めのホイールベース、ちょっと太めのタイヤといった構成に、そのキャラクターが現れています。ただし、フロントサスペンションがなく、カーボンフォークが採用されているのは「イマドキ」な感じがします。
<7.5FXはカーボンフォークを採用>
7.5FXにはXS、S、M、Lの4サイズがあり、今回の試乗車はM。さっそくまたがって走り出してみます。乗ってみてすぐに感じるのが、スムーズな加速と適度なゆったり感。長めのヘッドチューブにより上体が起きたポジションとなっているので見晴らしが良く(ポジションが合っていることが前提ですが)、街中を流すにはぴったりでしょう。
700×32Cのタイヤは路面の凹凸をいなしてくれるので、サスペンションがなくても不快な振動を感じることはありません。なおかつカーボンフォークや、握り心地の良いエルゴノミック形状のグリップなどが相まって、とても快適です。700×32Cのタイヤを履いていると、アルミフォークでも不快ということはないのですが(以前のordinaのレビュー参照)、やはりカーボンフォークのほうが軽さもあって快適です。
<エルゴノミック形状のグリップ。形がエルゴノミックでも固くて手にフィットしないものもある中、このグリップは手に優しい感じがする>
フラットダートや石畳の場所を走ったときも、700×28Cのタイヤを履いたリジッドのクロスバイクと比べると、明らかにフロントからの振動が優しいと感じます。そして車道と歩道の段差、路肩に現れる側溝のフタ(これは回避できればしたほうが良いけど)などを通過するときでも安心です。
<タイヤは700×32C>
交差点を曲がるようなときの挙動には、クロスバイクらしい安定感があります。Mサイズで1058mmという十分なホイールベースが効いています。ちなみにGIANT ESCAPE R3は同等サイズ(Mサイズ)でホイールベースは1015mm。乗りはじめたときに感じたゆったり感には、この前後方向の長さも関係していると思います。
<普段着で乗っても快適なサドルはエラストマー付き>
変速関係のコンポーネントは、シマノ・デオーレLXやデオーレ等がミックスで採用されていますが、さすがに10万円弱の値段ともなると、クロスバイクでもシマノ率が高まりますね。
<リアディレーラーはLX(リア9速)>
ロードバイクのような軽快感、フレームのキレという面では、筆者がふだん乗っているGIANT ESCAPE R2(2010年モデル)のほうが上回ります。しかし、TREK 7.5FXのクロスバイクらしいスムーズかつ安心感のある乗り心地もなかなかのもの。クロスバイクに対してどちらのキャラクターを求めるかは、完全に好みの問題でしょう。
●レビュー製品について
メーカー:TREK(http://www.trekbikes.co.jp/)
製品名:7.5FX
価格:96,000円(税込)
製品情報Webサイト:http://www.trekbikes.co.jp/bikes/bike.php?eid=00003&category2=fitness
●取材協力
バイクプラス多摩センター店(7.5FX試乗車あり)
http://www.bikeplus-tama.com/
(須貝弦)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。