先日、ミヤタの安価な鉄自転車「フリーダム」について触れたところ、なんと関係者(ミヤタと取引されている方)が所有していた私物をお借りすることができましたので、簡単にインプレしたいと思います。あらためてフリーダム(FREEDOM)という自転車について説明すると、ミヤタが2010年モデルから出している、クロモリフレームの街乗りシングルスピードです(2011年モデルからは外装7段モデルも追加)。ギアはフリーのみ、税込32,800円という価格ながら、写真で見る限りフレームのスタイルは良さげで気になっていました。
今回借りたカラーはクリアブラック。イエローのセミディープリムが特徴です。
各部を見ていきましょう。
価格相応というか、ホームセンターで売っているクロスバイクのようなクランクとチェーンリングが装着されています。フロントは46T。チェーンリングにカバーがあるのは実用的。オプションでチェーンカバーもあります。
シングルフリーのギア。最初16Tかと思ったのですが、数え間違えてなければ18Tです。
ブレーキはこんな感じ。精度も効きも価格相応(とかしか表現できない)。
BB付近。ママチャリチックなプラスチックのカバーがご愛嬌。
もちろん中国製。
スタンドはすごく便利!
懐かしい感じすらするハロゲンライトを標準装備。
BAAマーク付き。
英式バルブでした。
横からのスタイル。見た目は結構まとまっているように思います。トップチューブ長538mmのワンサイズのみというのは、身長183cmの筆者には明らかに小さいです(カタログには適応身長162〜182cmとある)。
比較的幅のあるハンドルを装備。ただ、実車はどうもハンドルが少し歪んでいるような気がしてなりませんでした。
ロゴはこれだけでもいいような気がする。
……とまぁ、そんな感じの自転車でございます。ぱっと見は確かにシングルスピードなんだけど、ところこどこママチャリっぽいのが面白いですね。「ああ、こうやって安くするんだ」という意味で。
で、その値段だったり、スタンド付属だったり、BAAマークだったりといったところから「ピスト風味の街乗り自転車」と思い込んでまたがり、走り始めてみました。第一印象「あれ、ギアが男前?」。46×18Tのギアは、街乗り自転車として考えたら漕ぎ出しが明らかに重たいです。最初の一漕ぎはジンワリと行きましょう。
ド平坦の道路なら、少しダンシングしてやればグイグイと加速するし、ある程度スピードが乗ったところでジンワリとしたペダリングに切り替えてやれば、気持ちよくクルージングできます。クロモリフレームといってもこの価格ですから、ドッシリ重たいし乗り心地は「ゴチゴチ」してますが、それでもこのクルージング感覚は、ママチャリから乗り換えたら感動するかもしれません。そして「変速がないって、気楽でこれはこれでいいな」と思わせてくれます。サイズの割にホイールベースが長めで、直進安定性は悪くありません。
しかし坂はやっぱりきつい。勢いがないと、ちょっとした勾配がきついのです。世の中の街乗りシングルスピードに標準で付いている組み合わせは46×18Tが多くて中には16Tだってあることを考えればこれが普通なのですが、この自転車のターゲットに合っているかというと疑問。値段、そして装備から考えるとターゲットは明らかに「ゆるい街乗り」だと思うのです。ママチャリから買い替えるような方々のことも考えると、ギア比はもっともっと軽くて良いのではないでしょうか。
結論。平地を流してる分にはなかなか楽しい。見た目はなかなかかっこいいので、いじれば化けるかも。
もし私がフリーダムをいじるなら、ステムをもうちょっと長くして、アップハンドルにして、歯数の小さいチェーンリング&クランクにしたい……と考えながら電卓はじいていたら、フリーダムの車体価格を超えていました(笑) でもそうやって楽しむのもアリかもしれません。
●レビュー製品について
メーカー:ミヤタサイクル
製品名:フリーダム
価格:32,800円(税込)
メーカーWebサイト:http://www.miyatabike.com/
(須貝弦)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。