FUJIの2011年モデルに、同ブランド111周年としてリリースされるものがあります。ひとつは、以前紹介した「YAIBA」(製品情報はこちら)。日本の東洋フレーム製です。そしてもうひとつがシングルスピードの「KISSAKI」。こちらはケルビム製です。
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FUJIというブランドのルーツは、1899年に創業し1900年に会社として設立された日米商会にあります。その後、社名は日米富士自転車となり、アメリカへの輸出で規模を拡大したり、国内ではジュニアスポーツ車に力を入れたりしながら、それなりの地位を築いていました。
しかし、90年代に入り、食品商社の東食と合併の後、東食が倒産。FUJIというブランドは海外メーカーに引き継がれることになりました。その後日本でもフジサイクルという販売会社が取り扱っていましたが、正直言って少々寂しい状態が続きました。しかし数年前に新たにアキボウが代理店となり、ふたたびメジャーなブランドとしての地位を築いています。世界的には、近年プロチームに機材を供給して、ツール・ド・フランスを走ったりもしましたね。
なんで急にこんなことを書くかと言いますと、日米富士自転車の本社工場は筆者の地元、東京都町田市にありました。そして、KISSAKIを作っているケルビムも、同じ東京都町田市内に拠点を置いています。筆者のことはどうでもいいとして、FUJIの111周年モデルを同じ町田で活躍してきたケルビムが担うのも、何かの縁なのかしらね……などと、つい考えてしまったのでした。
日米富士自転車の本社工場は、町田駅から500mほどのところにあり、夜になると道路に面したコートでサイクルサッカーの練習をしている風景をよく見かけました。
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町田市民ホールの隣の、がらんとした駐車場になっているところが、跡地です。この場所に町田市役所が移転することになっていまして、現在工事が続いています(追記:その後、町田市役所が完成してGoogleの画像も変化しています)。
町田市庁舎新築工事
KISSAKI、ちょっと欲しくなってきました。20台しか入荷しないらしいので難しいですが……。
もしFUJIのYAIBAやKISSAKIを手に入れた方がいましたら、何かの機会にこの土地を訪れてみてはいかがでしょうか。何もないけど(笑) でもKISSAKIのオーナーさんは、日米富士自転車の跡地と、フレームを作ったケルビムという、ふたつのルーツを辿れますよ。
(須貝弦)
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