GIANT ESCAPE R2、長期インプレッション記事第3弾です。
GIANT ESCAPE R2がやってきて約1ヶ月が過ぎた頃、私はショップに自転車を持ち込みました。ワイヤーの「初期伸び」を取ってもらうためです。この「初期伸び」とは何でしょうか。
自転車にとってワイヤーは重要な部品のひとつです。ブレーキはブレーキワイヤー、変速機は変速ワイヤーで動かします。ESCAPE R2の場合、前後ブレーキはワイヤー引きのVブレーキ、そして前後に変速機が付いていますから、合計4本のワイヤーが貼られています。
そして、このワイヤーという代物が「使っているうちに伸びる」ということは誰でも想像がつくと思いますが、実は使いはじめた初期に結構伸びるのです。今まで何のテンションもかかっていなかった新品のワイヤーが自転車に組み付けられ、ブレーキをかけたり変速操作をしたりといったことで、伸びるのです(追記:また、アウターケーブルと馴染む、アウターケーブルが縮むといったことも影響します)。
とくに変速ワイヤーが伸びると、変速機の調子が悪くなったように感じます。ギアを変えてもスパッと切り替わらなくなったり、チェーンからチャラチャラと接触音が出るようになります。そしてこれは、急激にというよりも、なんとなく、いつのまにかそうなるのです。モノや使い方にもよりますが、1週間〜1ヶ月もすれば初期伸びは起きると思って良いでしょう。
そんなわけで、我が長期インプレ車のESCAPE R2でも初期伸びを感じてきました。ワイヤーが伸びたのだから、その分だけワイヤーを貼れば良いことです。アジャスターボルトがあるので、それを使ってワイヤーの貼りを調整します(メンテナンス本を読んだり、Googleで検索してみてください。やり方はいくらでも出てきます)。
ただ、ある程度までは解消できましたが、どうも完璧という感じではありません。そこで今回はショップに持ち込んでみました。初期伸びはほとんど必ず起きることなので、たいていのショップでは無料で調整をしてくれます。
今回ショップに見てもらってわかったのは、いつのまにかリアエンドがほんの僅か曲がっているということでした。リアエンドとはリアの変速機(ディレーラー)が取り付けられている台座のことですが、これが曲がっていると、変速の性能に影響してしまいます。曲がった原因はわかりませんが、とくにディレーラーに傷がついているわけでもなく、ぶつけた心当たりもないので、今回は無料でエンドを修正してもらいました(購入初期であっても明らかに“アンタぶつけたでしょ!”というような場合は修理なので、どんなショップでも有料になります)。
エンド金具はディレイラーハンガーとも呼びます。こんなパーツです。
どんな自転車でも、リアディレーラーがあるのなら、その取り付け部分を見るとこんなモノがついています。
多くのショップでは「初期点検は無料なので、1ヶ月くらいしたら一度来てください」というようなことを、購入者に伝えていると思います。全部のショップが、とはいかないでしょうが、スポーツ車専門店の多くがそうしているはずです。しかし実際にショップに聞いてみると、クロスバイクを買われていくビギナーの場合、買いっ放しで持ってきてくれないケースもあるようです。そういう方は、自分で調整するのでしょうか? たぶん、何の調整もしない方が多いのだと思います。
せっかく買ったクロスバイクですから、気持ちの良い状態で乗り続けられるようにしませんか。ワイヤーの初期伸びは、ちゃんと取ってもらいましょう。時期としては、購入後1ヶ月が目安です。毎日乗っていればもっと早いでしょう。「買ったばかりなのに変速の調子がイマイチ」と感じたら、ショップへGO!です。
(須貝弦)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。