「無理してまで自転車通勤することはない」という記事の続きです。
「自転車通勤をするには、どんな自転車が良いのですか?」
たまに受ける質問ですが、まともな自転車であれば、種類は何であれ自転車通勤は可能です。ただ、もともと自転車が好きで「通勤にも使ってみよう」という人と、ビギナーで「これから自転車通勤してみたいんだけど」という人とでは、自転車に対するアプローチがまったく異なるのも事実。後者の方はやはり「どんな自転車が通勤に適しているのだろう?」と考えます。
繰り返しになりますが、まともな自転車であれば、種類は何であれ自転車通勤は可能です。あとは、自転車のタイプによって得意分野がありますから、それと自分の通勤シチュエーションをすり合わせれば良いのです。
以下、ビギナーを対象に書きますのでご了承ください。
●ロードバイク
言うまでもありませんが、路面の良い舗装路ならロードバイクがいちばん速くて楽で、遠くまで行けます。そして今、ロードバイクの存在を念頭に「自転車を始めたい」と言う人が多いのも事実です。ただし、舗装路以外は苦手です。タイヤはめっぽう細いです。当然車道を走ります。最初は側溝のフタが怖いかもしれません。荷物を背負ったら腰も痛いでしょう。また、スポーツサイクルの中でも高価なほうのジャンルでもあります。そして高価なモデルは繊細です。路上や屋外の無料駐輪場等に駐輪するのは、少々勇気が必要です。
一方、今は「ロードレーサー」ではない「ロードバイク」も多数ある時代ですから「メインの用途は通勤」という人でも、いろいろ選択肢はありますね。
●クロスバイク
はい、いちばん無難な選択肢です。5〜10万円くらいのクロスバイクはたくさんの種類があるので、品数だけを考えたら選びたい放題だと思います。
クロスバイクの走りの善し悪しは、乱暴に言えば重さとパーツのグレードで決まります。そしてタイヤの太さが走りの「質」を決めます。舗装路のみで車道走行する気があるなら、GIANTのESCAPE Rシリーズのようにタイヤが細いものを。川沿いのサイクリングロードなんかで舗装が悪かったり未舗装路がときおり出てくるようなシチュエーションなら、タイヤが太めのものを選ぶと良いでしょう。
例:タイヤが細いほう代表、GIANT ESCAPE R3.1(税込54,600円)
例:タイヤが太いほう代表、GIANT GLIDE R3(税込57,750円)
●MTB
最近はクロスバイクやロードバイクばかり注目されていますが、5〜10万円くらいの入門用MTBにちょっと太めのスリックタイヤやセミスリックタイヤを履かせると、気楽な街乗りの相棒になります。また、機械式ディスクブレーキのモデルを選べば、まぁ多少は重たくなりますけど「帰宅中に雨が降ってきた(泣)」といった場合でもちゃんとブレーキが効いてくれますし、それはそれで良いんじゃないかと。
もちろんロードバイクやクロスバイクよりは重たくなるのですが、片道10km程度なら逆に気楽でいいですよ。
例:Hardrock Sport Disc(税込70,000円)
●シクロクロスバイク/ツーリングバイク
ここであえてシクロクロスバイク(シクロクロス風のツーリングバイクを含む)に触れたいと思います。
ロードバイクのようなポジションと、クロスバイクのようなやや太めのタイヤ。この組み合わせは通勤にも具合が良いです。比較的安価なモデルだと、シクロクロスというよりツーリング車という感じですが、それはそれで使いやすかったりします。むしろ、ロードバイクを普段使いするより楽です。ツーリングを意識したモデルであれば、キャリアの取り付けも可能です。
例:シクロクロスバイク代表、KONA JAKE(税込105,000円)
というわけで、それぞれのジャンルに、それぞれの良さがあるのです。2010年モデルもいろいろショップの店頭に並ぶようになってきましたから、まずはショップ巡りでもしてみたらいかがでしょう。実際に自転車を眺めたり、ショップの話を聞いたりしているうちに「これ欲しい!」という自転車に出会えるかもしれません。
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。