※この記事は2009年版です。
※2012年版はこちらです。
専門誌に限らず、雑誌の仕事をしているとよくあるのが「カタログ記事」というやつ。イメージとしては「今こそ買うべきインクジェット複合機ベスト10」とか、「この夏乗りたい旅自転車はコレだ!」みたいな感じね。
ちょうどPedalfarこと米津さんが「ビギナーにオススメのロードバイクを20台選んでみた」という記事を書かれていてどえりゃ〜ブクマされてるんだけど、あれもいわゆるカタログ記事と言えるでしょう。ただし米津氏による後半の解説は、文字数の制限が無いWebならではの充実ぶりで、「いわゆるカタログ記事」を完全に超越しています。
実はCyclingEXでも、ちょっと似たような記事を考えていました。20万円でロードバイクライフを始めたい人におすすめする完成車を、ニーズ別に5台くらい選んでみようかな、と。まぁカタログ記事なんで、あくまでもスペック上での判断になるんですけど。
というわけで、本編。
20万円という金額は「まぁ、ビギナーが想像する金額ってこれくらいかな」ということで、たいした根拠があるわけではありません。でも「少ない出費で、でもそれなりに良いものを、それなりに長く使いたい」と考える人は多いだろうと想像し、ひとまず20万円という線を引いてみました。
さて、予算が20万円だとしたら、自転車本体にかけられる予算は15万円です。残りはシューズとウェアとヘルメットとアイウェアに使ってください。ペダル別売の場合はペダルも必要です。はじめての自転車の場合は他にもいろいろ必要でしょう。したがってここで紹介する完成車は15万円前後です。
ロードバイク選び要件は予算だけではありません。「何に使うのか」が重要です。「週末のサイクリングに使い、1年後くらいにはロングライドに挑戦したい」「今クロスバイクで通勤しているけど、もっと軽くて速い自転車が欲しい」「ロードレースに出たい!」等、いろいろあると思います。そういったことも考慮して、とりあえず5台、選んでみます。
なお、今は2009年モデルから2010年モデルへの切り替え時期ですので、ここで挙げたものが今年の秋以降も流通しているかというと、そうとは限りません。完売している可能性もありますので、あしからず。ここで貼ったリンクも、きっと2010年2月頃には全部リンク切れになってると思います。
●サイクリングがしたい、いつかはロングライド。
FELT Z80(134,400円)
http://www.riteway-jp.com/bicycle/felt/9492712.html
週末に川沿いのサイクリングロードを走る程度だけど、そのうち100kmくらいは走ってみたい(つまりビギナーにとってのロングライド)と思っているなら、コンフォート系と言われるモデルがおすすめ。フレームのヘッドチューブという部分が長くてハンドル位置を高めにでき、ロードバイクとしてはラクなポジションを取ることができる……そんな説明はどこの雑誌でも書いているけど、個人的にいちばんのポイントは「現物の見栄えがなかなか良い」ことだったりして。ロードバイク全体からしたらすごく安価な部類だし、コンポーネントはSORAとティアグラだし、フロントトリプルだし、つまり「安いロード」の要素が全部詰まってるのに(笑)見た目が安っぽくないのは美点だと思います。
●サイクリングがしたい、ただしスチール限定で。
BRIDGESTONE ANCHOR RNC3 Sport(148,000円)
http://www.anchor-bikes.com/bikes/09rnc3sp.html
使い方としては上の「サイクリングがしたい」とまったく同じ。ただし「細いスチールフレームじゃなきゃいやだ」という、そんなアナタへ。数世代前のロードレーサーがそのまま今でもカタログに載ってるような感じですけど、近年のフレームデザインをまったく受け付けないという人も多く、このRNC3も根強い人気があります。最近のANCHOR(アンカー)はちょっと納期に問題がありますが、カラーオーダーが可能だったり、ハンドル幅やステムの長さ、ノーマルクランク/コンパクトクランクが選択できるといった小回りの良さは、さすが日本のブランドです。好きなカラーをオーダーして乗りましょう。
●ロードレースに出たい
GIANT TCR(147,000円)
http://www.giant.co.jp/giant09/bike_datail.php?p_id=R0103013&action=outline
アルミフレームのベーシックなロードレーサー。最近はレース目的じゃない「ロードバイク」が目立つけど、このTCRは生粋の「ロードレーサー」です。メインコンポーネントがシマノ・105、つまりリア10速で価格はほぼ15万円と、コストパフォーマンスが抜群。フロントクランクがコンパクトクランクではなく、39/53Tとなっているのもポイント。ペダルはなぜかフラットペダルが付属しているので、それをビンディングペダルに変えてあげればOKでしょう。まずはこのTCRで、お店の練習会等に参加するなどしてトレーニングを積みましょう。実際にレースに出る前に、タイヤとブレーキシューだけでもグレードの高いものに交換しておくと、なおよし。
●ヒルクライムレースに出たい
BRIDGESTONE ANCHOR RA5 Sport(148,000円)
http://www.anchor-bikes.com/bikes/09ra5sp.html
ビギナーの人がロードバイクでヒルクライムに出たい……そんなとき自転車を選ぶポイントは何だろうって考えると、一般的には、バリバリのロードレーサーよりはリラックスしたポジションが取れること、コンパクトドライブを装備していることの2点くらいでしょう。RA5はアンカーの中ではアップライトなポジションのモデルです。メインコンポは9速のティアグラですが、クランクがノーマルとコンパクトで選択できるので、ヒルクライムが目標ならコンパクトにしておきましょう。RNC3 Sport同様、パーツのサイズやカラーがオーダーできるので、自分に合った1台にすることが可能です。ただ、予算があるなら1グレード上のRA5 Equipe(185,000円、メインコンポが10速の105)のほうがオススメなのは間違いありません。
●自転車通勤がしたい
SPECIALIZED Sequoia(120,000円)
http://www.specialized.com/ja/ja/bc/SBCBkModel.jsp?spid=39270
よっぽど特殊な自転車じゃない限り、どんな自転車でも通勤はできるんですけど、それを言ったら始まらない(笑) ビギナー対象ということを考慮し「太めのタイヤが履ける」「オフィスカジュアルで乗れる」ということで、スペシャライズド・セコイアを選んでみました。ロードバイクなのに、カタログ写真を見るとサドルよりハンドルのほうが高い! 見るからにコンフォート系という感じです。ハンドルやサドルもエルゴノミック形状で、レース出る人が触ったら違和感あるでしょうけど、普段使いには良いです。標準で25Cの全天候タイヤを履いています。
ということで5台挙げてみました。最初に書いたように、モデル切り替えの時期なので、もしかしたら今回挙げた5台のなかのどれかは、2010年では廃盤になるかもしれません。でもまぁ、なんというか、選ぶポイントのヒントにでもなれば幸いです。
2010年モデルの情報が出そろったら、また同じような感じで書いてみたいと思います。
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。