カルデナスは強かった
日曜日、東京で行われた第9回ツアー・オブ・ジャパン最終日の東京ステージは、オーストライラ代表のニコラス・サンダーソン選手がゴール前スプリントを制して勝利しました。そして総合では、2年連続でヴエルタ・ア・エスパーニャ山岳賞に輝いているフェリックス・カルデナス(バルロワールド・バルジール)が格の違いを見せつけて優勝。総合2位のミズロフ(カペック)には1分16秒の差をつけました。日本人の総合最上位は、シマノ・狩野選手の6位。南信州や富士山のTT、そして伊豆ステージという上りの多いステージ構成は、日本有数のクライマーである狩野選手には合っていたようです。
日本人3の逃げで盛り上がる
東京ステージを大いに盛り上げたのは、日本人選手による逃げでした。序盤はスミタ・ラバネロ・パールイズミの米山選手などが飛び出し、大井埠頭ではブリヂストン・アンカーの田代選手などが仕掛けていきます。そして中盤以降、ミヤタスバルの三船選手と中川選手、スミタ・ラバネロ・パールイズミの飯島選手、ブリヂストンアンカーの清水選手による逃げが成立。途中で中川選手は脱落して、替わりにオーストラリア代表のサイモン・クラーク選手が追いつきます。この逃げはレース終盤まで続きました。しかし後方では、バルロワールドやカペックが中心となって追走します。
残り半周で逃げがつかまりスプリントへ
リーダーを擁するバルロワールドは、追走集団をグイグイと引きます。メイン会場の大型スクリーンでも、追走集団が逃げを射程距離に捕らえたのが確認できた頃、アンカーの清水選手が猛烈に前を引き始め、三船選手が脱落。しかし無情にも、残り半周で逃げは吸収されてしまいます。こうなると最後は集団スプリント。激しい位置取りの中、集団がゴールに向かおうとしていたとそのとき。残り300mくらいのところでしょうか、「バムッ、バキッ、ボムッ」という激しい落車の音が。スクリーンにはひっくり返る数人の選手が映り、スプリント体制だった集団は大きく二分され、オーストライラ代表のニコラス・サンダーソン選手がステージをモノにしました。
終ってみれば、やはりカペックとバルロワールドがチーム力で抜きん出ていたと思います。また、U23の若いオーストラリア代表が、2つのステージをとったことも印象的でした。私は伊豆と東京の2ステージを観戦しましたが、面白いレースを見ることができました。来年のTOJにも期待したいと思います。
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。