CyclingEXでは「レーサーでもツーリング車でもないドロップハンドル車」というタグのアーカイブがどういうわけか人気で、ページビューが多いのです。そこで今回は、ロードバイク(ロードレーサー)以外でドロップハンドルを持つ自転車について改めて紹介します。
(この記事ではツーリング用自転車も含みます)
●ランドナー/ツーリング車
フランスの長距離ツーリング用自転車をルーツに持ちますが、日本独自の進化をして1970〜80年代のサイクリングブームを支えました。650Aや650Bといったホイールサイズ、キャリアや泥除けを装備していることが特徴。ホイールサイズは、より一般的な26インチを採用したものもあります。
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ランドナーと呼ばれる自転車は一般的に「ちょっと昔の自転車」のスタイルを受け継いでおり、様式にこだわる方も多いのですが、純粋にツーリングでの利便性と耐久性を追求し、丈夫なフレームに前後キャリア、そしてドロップハンドルを備えた自転車もあります。そういったものは単純に「ツーリング車」と呼ばれることが多いようです。
情報源: 2017 Giant Bicycle [GREAT JOURNEY]
GIANT(ジャイアント)の「GREAT JOURNEY」は、そういった現代のツーリング車の代表格と言えるでしょう。ホイールサイズは26インチです。
●スポルティーフ/クラブモデル/700C快走車/700Cツーリング
スポルティーフはフランスの高速・長距離サイクリング用自転車に端を発し(でも日本でしか通じない呼び名のようです)、クラブモデルは英国のサイクリングクラブのメンバーが使っていた自転車が起源、700C快走車とか700Cツーリングといった呼び名は日本的なものなので、一緒にするとナイスなおじさまたちに怒られるかもしれません。
しかし強いてひとまとめに紹介するならば、700Cのホイールで、ロードバイクよりはちょっと太めのタイヤ、泥除けと小ぶりなフロントキャリアくらいは付けられて、小旅行にも行けるような自転車です。
国産ブランドの自転車で「スポルティーフ」と謳っているもののひとつが、こちら。
Panasonic POSの「FSS7」です(フレームセットのみの販売)。ホイールサイズはもちろん、700Cで、フロントキャリアや泥除けを装備しています。POS 2017年モデルのカタログは現在PDFで公開されているので、下記リンク先からどうぞ。
情報源: POS(パナソニックオーダーシステム)|自転車|Panasonic
往年の英国クラブモデルを再現したのが、RALEIGH(ラレー)「CLS Club Special」。
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日本的な700Cツーリングの入門車なら、下記のモデル。
ブリヂストンの「CHeRO Drop」です。ランドナーほど重厚な装備ではなく、ある程度軽快なサイクリングができるようになっています。
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●グラベルロード
基本はロードバイクの走りを楽しみたいけれど、ルートの途中に出てくるダートもそのまま走りたい……といったニーズを満たすのが、グラベルロード(バイク)。
charge bikes(チャージ)の「PLUG 4」は、700×42Cタイヤ採用のグラベルロード。
メインコンポーネントは、ロードバイク用のシマノ・105を搭載しています。
関連記事: charge 2017年モデル:700×42Cタイヤ採用のグラベルロード「PLUG 4」 – CyclingEX
グラベルロードの持つ特徴をアレンジして、ビギナーでも幅広いシチュエーションで楽しめるようにした自転車が出始めています。
GIANTの「ANYROAD」シリーズは、そんな自転車の代表格でしょう。
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●エンデュランスロード
エンデュランスロードという言葉を単純にロングライド向けのジオメトリーを持つロードバイクに対して使うことも多いのですが、ここで紹介するのはその中でも太めのタイヤとディスイクブレーキを持ち、ダートも行けるけど先述のグラベルロードよりもう少しオンロード寄り……くらいの感じでしょうか。
Panasonic POSの「FRTD02」は、チタンフレームのエンデュランスロード(フレームセットのみ)。ディスクブレーキ採用、700×28Cまで対応するタイヤクリアランス、そして泥除け台座が標準装備です。POS 2017年モデルのカタログは現在PDFで公開されているので、下記リンク先からどうぞ。
情報源: POS(パナソニックオーダーシステム)|自転車|Panasonic
KONAの「WHEELHOUSE」も、同類の自転車と言えるでしょう。
現代的なルックスを持つクロモリフレームのディスクロードで、タイヤは700×30Cが標準装備されています。
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●アドベンチャーロード
グラベルロードと呼ばれる自転車と似たルックスで、より太いタイヤを装着し、未舗装路を含むロングツーリングにも対応させて自転車たちです。
KONAの「ROVE ST」は、クロモリフレームのアドベンチャーモデル。フロントシングルなのが特徴的です。
ロングツーリングのために、ボトルケージ台座を3つ備えています。タイヤは700×36Cです。
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JAMIS(ジェイミス)の「RENEGADE EXPERT」は、カーボンフレームのアドベンチャーロードバイク。
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パッと見たところでは「グラベルロード」と呼んでしまいそうですが、展示会で代理店さんはそこをビシッと「アドベンチャーロード」と言い直していました(笑) ボトルケージ台座がたくさんあって、こちらもロングツーリングを意識していることは見てとれます。
●シクロクロスバイク
主に寒い季節のオフロードを含むコースで競う「シクロクロス」競技のための自転車。シクロクロスバイクをベースとしつつ、それほど競技に特化せずツーリングや通勤等にも使えるモデルも、エントリーグレードを中心に数多くあります。
例えばCOLNAGO(コルナゴ)の「PRESTIGE 105」のような自転車です。
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●ピスト/シングルスピード
日本だと競輪場と呼ばれる、バンク/トラックで走るための自転車……ですが、近年は街乗りでもたくさん見かけるのはみなさんご存知の通り。
FUJI(フジ)の「FEATHER」は、街乗りシングルスピードとしておなじみ。最近は家電量販店の自転車売り場でも売ってますね。ちなみにこの「FEATHER」、固定ギアは別売りとなっています。
——というわけで、ロードバイク以外でドロップハンドルを持つ自転車について、少々乱暴ではありますが、まとめてみました。いろいろ呼び分けてみましたが、それ自体には大した意味はないと思っています。ただ、ドロップハンドルが付いた自転車にもいろいろなものがあって、それぞれのニュアンスみたいなものが伝われば、それで良いかなと。
世間は忘年会シーズンですが、酒の席でうっかり先輩サイクリストがランドナーやスポルティーフの様式について話し始めたら、どんどんお酒を注いであげてください。
(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。