愛媛県が主催する「2015春 アクティブシニアスポーツサイクル体験会」の、レポート後編です。前編はこちらからどうぞ。
シニアがしまなみ海道で学んだ、走った、楽しんだ!愛媛県「アクティブシニアスポーツサイクル体験会」レポート(前) | CyclingEX.
自動車教習所のコースを使ってみっちりと基本を学んだ参加者のみなさん。お昼前にはお待ちかね、教習所を出て一般道を実走します。
今治で開催するからには、もちろんここを走ります。
そう、しまなみ海道。「はしはま自動車教習所」から来島海峡大橋はすぐそこです。
みなさん、気持ちよさそうに来島海峡大橋を渡っていきます。
でも、この実走、単に教習所のコースから連れ出して「さあ、ついてこーい!」ではありません。
35名の参加者に15名のスタッフが付き、各スタッフは逐一後方を振り返って集団の状況をチェック。そして減速する、止まる、曲がる、注意すべき何かがあるといった場面では、大きな声と合図、そして後方確認により、安全・確実に参加者をナビゲートします。この動作がしっかりと統一されていて、集団のどこにいても安心してサイクリングが楽しめるんです。しかもスタッフの言葉遣いはシンプルだけど丁寧かつ明快。
これだけの引率スキルを持ったサイクリストが15名も集められるところが、愛媛の底力と言えます。さすが、昨年の「サイクリングしまなみ」に際してコースを巡回する「移動観察員」をしっかり育成するなどの取り組みを行った地域は違いますね。
橋はとても高いところを通っているので、アプローチはどうしても上り坂。きつい場合は、もちろん押し歩いてOK。しっかりスタッフがサポートしています。
来島海峡大橋を渡り、大島に降りました。ここから「よしうみバラ公園」まで走ります。本当に気持ちの良い気候の中、平地を時速15〜18kmのペースで快調に走ります。ここまですっきり晴れることは珍しいそうで、地元の皆さんも「今日はラッキー」「かなり贅沢」とのこと。
天候と景色もすばらしいのですが、参加者の隊列もなかなかきれい。フラフラしている人がまったくいません。教習所での練習が効いています。
今回、参加者のバイクのボトルケージには敢えてボトルを入れていませんので、休憩中にしっかりと水分補給をしてもらいます。サポートカーが帯同しており、飲み物やおやつを積んでいます。
愛媛県警からバイシクルユニット隊員2名が派遣され、いっしょに走ったり、先回りして交通整理をするなど活躍。
今治は造船の街。島々にも造船所があり、クレーンをバックにして走ることもあります。
よしうみバラ公園の「ローズ館」で昼食休憩。話がはずみました。
しっかりと休んだら、ここからスタート地点へ折り返します。この頃になると、参加者のみなさんもだいぶ慣れてきました。
ちなみにしんがりは民間救急車です。出番はありませんでしたが、体制はばっちり。
途中の公園でもう一度休憩。せっかくなので、来島海峡大橋をバックに記念撮影!
この後、サイクリングターミナルのある「サンライズ糸山」まで戻りました。そして、休憩後にそのままスタート地点へ帰り解散する参加者と、サンライズ糸山でお茶をしていく参加者に分かれます。せっかくなので「お茶ミーティング」に混ぜてもらいました。
砥部町にお住いの藤岡さん(75歳)は、知人からこの体験会のことを聞かされて、松山市にお住いのテニス仲間、大岩さん(77歳)を誘って参加です。
現役で仕事をされている藤岡さんは、車では何度もしまなみ海道を走っていますが、自転車で通るのは今回が初めて。
「自転車でしまなみを走るのが、夢だったんですよ。今回走ってみて、本当に気持ち良かった。贅沢でしたね。25年くらい前にマウンテンバイクに乗ったことはあるんですが、もうずっと乗ってませんでしたから。今回の自転車はハンドルも高めになっていて、昔乗っていたマウンテンバイクよりも乗りやすかったですね」
大岩さんは「今日の自転車はフレームのココ(トップチューブ)が斜めになってるから、止まるときにサドルの前に降りやすいね」と話すなど、今どきのクロスバイクの乗りやすさにも感心されていました。
そして、藤岡さんに誘われて参加した大岩さん。77歳は今回の最年長者です。
「ふだん、病院に行ったり繁華街に出かけたりするのは全部“ママチャリ”なんです。脚力を鍛えるために、5段変速の、ちょっといいのを買ったんですよ。でも、今日の自転車は“ママチャリ”とは全然違いましたね。今日は皆さんに迷惑かけないようにと必死だったけど、今度は2人くらいで、自分のペースで止まりたいところで止まりながら行けたら、いいんじゃないかしら」
必死だったと言いながら、今日みたいな自転車はどこかで借りられるのかした?ここ(サンライズ糸山)で借りられるの?などと話される様子から、大岩さんもすっかりサイクリングの楽しさにハマったようです。
渋井さんが参加者からの質問に答え、感想をヒアリング。ここで得たフィードバックが、翌日以降の各会場でも活かされるのです。
この後「はしはま自動車教習所」までの最後の集団走行をつつがなくこなし、アクティブシニアスポーツサイクル体験会・東予会場は無事に終了しました。
「シニアのサイクリング体験会あるから、取材どう?」
そう声をかけられたとき、実はどんなものなのかまったく想像がついていませんでした。そして今回、3会場のうちのひとつだけでしたが同行させてもらい、県や講師・スタッフの熱意とスキルの高さ、そして何よりも参加されたシニアの皆さんの熱意と真剣さに驚きました。もちろん、走る舞台の良さについてはいうまでもありませんが、「サイクリングを取り巻く環境の良さ」の一端を垣間見たような気がします。これらを含めての「サイクリングパラダイス・愛媛」であり「サイクリングの聖地・しまなみ海道」なのかもしれません。[終]
前編はこちらからどうぞ。
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(Gen SUGAI)
須貝 弦(すがい・げん):1975年東京都新宿区生まれ、川崎市麻生区在住。雑誌原稿の編集・取材・執筆の他、企業Webサイトやオフィシャルブログの制作にも携わる。自転車と小田急ロマンスカーが好き。初めてのスポーツ自転車は1986年あたりのアラヤ・マディフォックス。2001年頃にGTのクロスバイクで数年ぶりにスポーツ自転車に復帰。現在のメインの愛車はアルミのロードバイク「TREK Domane AL3 DISC」。
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